劇場公開日 2003年12月6日

「【“人も桜も、いつか散る・・。”今作がハリウッドで製作された事の意義と共に、渡辺謙、真田広之等侍を演じた俳優の演技が世界に認められた記念碑的作品。】」ラスト サムライ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【“人も桜も、いつか散る・・。”今作がハリウッドで製作された事の意義と共に、渡辺謙、真田広之等侍を演じた俳優の演技が世界に認められた記念碑的作品。】

2023年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

泣ける

興奮

幸せ

ー 久方振りに鑑賞したが、矢張り今作の意義は様々な意味で大きいと思った作品である。-

◆感想<内容に触れています。これだけの作品であるので、シンプルに記す。>

・ハリウッド製作者の筆頭に、トム・クルーズの名前がある。彼の大スターは自ら主演しつつ、制作にも加わっていた事を今回、初めて知った。

・トム・クルーズが演じるオールグレン大尉は、南北戦争時、無抵抗なネイティブ・アメリカンの女性、子供が多数殺された姿を見て、心が深く病んでアルコールに溺れている。
 - オールグレン大尉自身が、武士道に近い思想の持ち主だった事が分かるし、西洋化のために日本に呼ばれた際に、反政府軍の渡辺謙演じる勝元に心惹かれて行く理由も良く分かる。-

・西洋化を推し進める大村大臣(これも、今回気付いたのだが、ナント原田眞人監督ではないか!)の日本古来の文化を根絶やしにしようとする愚かしき姿や、苦悩する現人神、若き明治天皇の姿もキチンと描かれている。

・オールグレン大尉が、勝元軍に囚われた際、勝元は彼を手厚くもてなし、会話を交わすシーンも良い。
 - 夫をオールグレン大尉に殺された勝元の妹、たか(小雪)と勝元の弟、信忠の屋敷で過ごすオールグレン大尉に対する周囲の変化も良く描かれている。特に、たかの心がオールグレンがタドタドシイ日本語で詫びる事により、変容していく様が良い。そして、オールグレン自身も心が癒され、武士道と日本固有の自然美に惹かれて行く。-

■勝元軍と、大村やバグリー大佐が率いる政府軍が対決するシーンは見応えがある。原田眞人監督が今作以降、大作を製作する際に参考にしたのではないか、と思ってしまった程である。
 圧倒的な近代兵器で力で押す政府軍に対し、知略で迎え撃つ勝元軍。
 初戦は勝元軍が取るが、圧倒的な政府軍のガトリング砲が炸裂し、勝元軍は次々に斃れて行く。
 その姿に、涙を流しながら帽子を取り頭を垂れる大村を除いた政府軍の人々。
 そして、たった一人生き残ったオールグレン大尉は、勝元に名誉の死を与えるシーンは、沁みる。

・オールグレン大尉が、足を引きずりながら明治天皇の前に拝謁し、勝元の刀を捧げるシーンも印象的である。
 大村が天皇にオールグレンの罪を問うように箴言するも、天皇はその言葉に対し”お前の蓄えた財産を総て没収し、代わりにこの刀を授けよう。”と答え、アメリカとの不平等契約を破棄し、オールグレンの下に近づき、同じ高さの目線で”勝元の死に様を教えてくれ。”と言葉を掛け、オールグレンは”彼の生き様を語りましょう。”と言うシーンも心に響く。

<今作は、ハリウッド映画界が、それまでの類型的な日本の描き方ではなく、日本の武士道、文化に敬意を払って製作された記念碑的作品である。
 トム・クルーズ演じるオールグレン大佐が徐々に心身ともに、侍になっていく描き方も良く、通訳と著述家のサイモン・グレアムを演じたティモシー・スポールも良い味を出しています。(当時は恰幅が良かったんだね。)>

NOBU
kossyさんのコメント
2023年1月23日

マジです!
色々批判もあるでしょうけど、すごい人です!

kossy