劇場公開日 2004年2月7日

この世の外へ クラブ進駐軍 : 映画評論・批評

2004年2月2日更新

2004年2月7日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹系にてロードショー

武器を楽器にかえて戦った男たちの青春

イランの監督たちは隣国で戦争が起ればカメラを担いで出向き、スパイク・リー監督は9・11後のニューヨークの姿を、映画「25時」で写した。日本にもそんな気骨のある監督はいないのか?と思っていたら、いた!いた! 阪本順治監督が。しかも声高に反戦を訴えるのとは違う。あくまでエンターテインメントという自分のフィールドの中でメッセージを伝えようとする姿勢が、阪本監督らしい。

撮影現場を訪れた時、スタッフは「武器を楽器にかえて」と書かれたTシャツを着て撮影に挑んでいた。その言葉が通り、本作品は戦後、ジャズで自分たちの人生を切り開こうと奮闘した男たちの青春物語だ。ジャズメンを演じる萩原聖人やシンガー役の前田亜季は、味はあるが阪本作品のわりにはアクは弱め。ちょっと物足りなさも感じるが、その分、焼け野原に造った町のセット、怪しい日本語を操る哀川翔、本当に当時の子供じゃないかと目を疑うような演技をみせたささの4兄弟(俳優笹野高史の息子)ら脇がいい。さすがは“ナニワの猛獣使い”阪本監督だ。何より、スコットランドの激シブ親父ピーター・ムランを口説き落とした功績が光る。監督として役者として評価の高いムランの参加で、阪本監督自身が“アジアの外へ”広く認知される作品になることを願わずにいられない。

(中山治美)

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