劇場公開日 2004年6月26日

子猫をお願い : 映画評論・批評

2004年6月15日更新

2004年6月26日よりユーロスペースほかにてロードショー

内面は印象的な場面で暗示される

仲良し5人組は、高校の制服が消えた瞬間からもはや対等ではない。ソウルの証券会社に就職し、繁栄を象徴する高層ビルで働くヘジュは、優越感を露にする。地元の港湾都市で、再開発から取り残されたバラックに祖父母と暮らすジヨンは、仲間から借金するほど生活に窮している。彼らは対立し、家業を手伝うテヒが、その関係を繋ぎとめようとする。

このドラマには、繁栄する社会の明暗があるが、彼女たちの立場は見た目ほど単純ではない。前向きに見えるヘジュが、実は学歴で自分を見限っているのに対して、逆にジヨンやテヒは決して自分を捨ててはいない。

そんな彼女たちの人生の選択は、ある共通点を持つイメージによって鮮やかに描き分けられる。ジヨンは、食事時に訪ねてきた知人と、包丁を手にしたまま言葉を交わす。仲間とソウルで過ごしたテヒは、ふとナイフを購入する。そこには何かを断ち切ろうとする想いを垣間見ることができる。一方ヘジュは、レーザーメスによる視力回復手術を受け、どこまでも自分を取り繕おうとする。このコントラストが、それぞれに悩みながら、過去や世界を断ち切る道を選択していくジヨンとテヒの姿を見事に際立たせているのである。

(大場正明)

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