花様年華のレビュー・感想・評価
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煙草の煙に揺らめく官能
何の前情報もなしに鑑賞しましたので、しばらくして本題が見えて来ました。
不倫している伴侶達の素顔をはっきり映さない代わりに、浮気される当人達については繰り返される音楽とスローモーションや静止画を使い、大人の心の揺れをじっくり描写して行きます。
まるで撮影のように、本番とリハーサルを行う2人…。恋愛とは、結局やり直しが効かないということを最後悟ったのでしょうか。
既婚者の秘めた恋愛は、どこにも漏れてはならない神秘なのだということでしょうか。
よく分からない所もあって飽きそうなのに飽きないのは、監督の腕ですね。
孤独な人妻の美しい佇まいが印象に残りました。
あと爆買いの文化的背景も、ほんの少し垣間見えました。
英語のタイトルは「In the Moon for Love」
2000年香港映画。98分。2010年48本目の作品。好きな映画監督といえば、ルコント、コーエン兄弟、そしてウォン・カー・ウァイ。本作はウァイ監督の代表作であり、主演を務めたトニー・レオンがアジア人として初めてカンヌの男優賞を取ったとか。
内容は;
1,お互いに伴侶をもつ男女がアパートの隣人になる。
2, そして、お互いにそれぞれの伴侶が不倫をしていることを知る。
3,2人の距離はどんどんと縮まっていく。
本作のテーマは「秘密」。その秘密とは男女の性関係を軸にした、禁断の思いや事実、現実、その他諸々。秘密が明るみになって運良く同時に不幸に陥った2人は、つかずはなれずの関係を保ちながら性の交わりを結ぶことなく、じれったく、そしてたゆたうように目的もなく関係を続けていく。
男は女の秘密を知ろうとし、女はかたくなにその内なる秘密を守っていく。そんな2人が向かえるあの結末は果たして幸せだったのか、それとも不幸せだったのか。性の興奮をはじらうかのようなため息が作品の至る所に聞こえ、そのあまりにも大人な色気にうっとりとしてしまうような作品。
世の中の常識という契りに縛られながらも、息を押し殺しながら、許されざる関係に進もうとする衝動とやりきれなさ、そしてちょっと危険な安堵感が凝縮した98分。まるで月の美しさに見とれたような作品でした。
じつは、これ、既に5回は観ています。
秘すれば花。。。。
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