イン・ハー・シューズ : 映画評論・批評
2005年11月8日更新
2005年11月12日より有楽座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
ちょっとした自信が人生を豊かにしてくれる
キャリアはあるけれど、女としての自信がない姉。ルックスは抜群だけれど、仕事さえない妹。そんな正反対の姉妹の葛藤という“女性映画”な題材を、“男のドラマ”が得意なC・ハンソンが料理する。なんだか意外な気がするけれど、これが、ハンソン演出だってことはおろか、監督が男だとか女だとか意識させない世界に。いや、原作者も脚本家も女性だからか、姉が大切にしまいこんでいる高級ブランドシューズを、自分の力じゃ到底それを買えない妹が勝手に履いて出かける生理的にNGなオープニングをはじめ、自堕落な妹と実はそんな妹を甘やかしているような姉の関係を随所に端的に映しだして苛立たせるのも事実なのだが。
でも、彼女たちの幼い頃の記憶が明らかになるにつれて、正反対の姉妹のイラつく物語は、姉妹の絆と祖母まで含めた女3代の愛を描きつつ、普遍的な真実を浮かび上がらせる。それは、ちょっとした自信が人生を豊かにしてくれるってこと。これには、男も女も、兄弟姉妹があるなしも関係なしに、ぐっときちゃうのでは? だって、人間誰しも、自分に自信がなかったり、誰かに認められたいともがきながら生きてるんだから。改めてそれに気づくだけで、ちょっと元気が出てくるのも人間だけどね。
(杉谷伸子)