シャイニングのレビュー・感想・評価
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頻繁な「キューブリック・ステア」が気になってしまう。
◯作品全体
人物を画面の正面に据えてカメラをジッと睨ませる、通称・「キューブリック・ステア」。
キューブリック作品において、人物が抱える狂気や負の感情を強烈に印象づける演出だ。キューブリックの初長編監督作である『恐怖と欲望』から既にプロトタイプのような演出があり、キューブリックにとって、いわば洗練された「決め球」と言える。
本作でもこの「決め球」は炸裂している。ホテルの管理人となったジャックを蝕む、ホテルの呪いを表現する時に、据えた目線と吊り上がった口角でカメラを見据える。ジャック役のジャック・ニコルソンの表情も強烈だし、その表情を無機質に映し続けるカメラも恐怖を煽る。静かにジャックを侵食していく呪いの演出として存分に機能していた。
しかし「決め球」は連発してしまえば相手に見切られてしまう。藤川球児のストレートも、千賀滉大のフォークも、それぞれ別の球種があるから「決め球」がさく裂するのだ。そう考えると本作の「キューブリック・ステア」はあまりにも多投しすぎだと感じた。呪いの表現はそれ以外にもいろいろあったが、強烈な印象を与える「決め球」に負けてしまっていて、「決め球」の多投を意識してしまう。
狂気が徐々にジャックを侵食していくストーリーラインもキューブリックの得意技ではある。登場人物のおかれた環境、誰かとの関係性、なにかへの固執…それが徐々に登場人物を蝕んでいく姿は、過去作品でも印象的だった。しかし本作における狂気の源は「ホテルの呪い」という抽象的なもので、なぜジャックを侵食していくのか、という部分もあいまいなように感じた。
キューブリック作品は得てして奇抜なプロップや独特な配色によって脚色されているものの、本質は「地に足のついた狂気」なのでは、と思う。
そう意味では「ホテルの呪い」という、ザ・ホラーな題材は、キューブリックの「決め球」を使うにはしっくりとこないもののように感じた。
〇カメラワークとか
・ホテルの廊下や呪われた部屋の映し方は、さすがの不気味さだった。カメラの動かし方が巧い。曲がり角を曲がるときに緩急を付けてカメラを動かしていたり、部屋を映すときも死角を意図的に作り、焦らすようにカメラを動かす。FIXの一点透視のカットが不気味に見えるのも、このカメラの動かし方が下地にあるように感じた。
◯その他
・初見のときはジャックの妻・ウェンディのヒステリックな感じが苦手だったけど、改めて見るとふにゃふにゃ動くシェリー・デュヴァルが面白くてそっちに目が行ってしまう。
ジャック・ニコルソンの演技が印象的。 映像美は見応えがある。 廃業...
ジャック・ニコルソンの演技が印象的。
映像美は見応えがある。
廃業したホテルと霊感が強い子供の組み合わせが怖い展開になっていく。
ジャッキーチェンの『酔拳』とは逆に、アルコール好きの酔っ払いは恐怖の体験をしてバッド・エンドへ向かう。
原作は未読。
今作は謎が多くて面白い。
かなり怖かった
タイトルがシャイニングだから、あの男の子の力がこの惨劇を生み出したのだろう。普通に営業していた伝統あるホテルに、冬の間の管理人としてやってきた一家。
男の子に特殊な能力があった。最初からこの子は異変を感じていた。
そして,閉ざされたホテルの中で,どんどん狂気に満ちて行く父親、怪奇現象を感じる息子の間で,唯一,平静な妻。このジャックニコルソンが,とにかく怖い😱これだけでもこの映画の価値あり。
遠い昔の惨劇が乗り移り,たくさんの幻想が絡み合う。何が現実かわからなくなる。ホラーやオカルトはあまり観ないので比較はできないけれど、この映画は面白いと思った。
気の毒なのは助けに来るホテルの従業員の同じ超能力者。あっさり殺されてしまった。え?こんな扱い?とちょっと笑ってしまった。
映像美世界観素敵!!
久々の洋画鑑賞なので、キューブリックの世界観の美しさに圧巻でした。あーあの有名な女の子二人組の写真ってここからなんだとか。
個人的に思った以上に怖かったです。ただ、少し難しいなと思う場面もあり、何度も観るには最高の映画でした。
息子ちゃんが刃物を持つシーンは普通に自分の手切らないでね。と終始オドオドしてしまいました。
まぁホラー程度ですが、ホラーというジャンルがついてるためグロいことしないでなと、精神すり減らしながら観てしまいました笑
個人的には普通に好き!コレに限る!!!!
ホラー史にその名を刻む永遠のマスターピース! 血塗られた歴史は新たな血を求める…🩸
雪で閉ざされたホテルで巻き起こる戦慄の惨事を描いたサイコ・ホラー。
監督/脚本/製作は『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』の、巨匠スタンリー・キューブリック。
原作は『キャリー』の、小説家スティーヴン・キング。
主人公である小説家志望の男、ジャック・トランスを演じるのは『イージー★ライダー』『カッコーの巣の上で』の、レジェンド俳優ジャック・ニコルソン。
今やホラー映画の代名詞とも言える、超有名作品。
エレベーターから溢れ出す赤い水や不気味に佇む双子の女の子、そしてドアの割れ目から顔を突き出すジャック・ニコルソンなど、観たことがなくてもなぜか知っている特徴的なシーンが目白押し。
有名すぎるが故に逆に観ていない映画ってあるじゃないですか。自分にとっては『シャイニング』もその一つでした。
今回満を持して初鑑賞♪
日本公開版(119分)と北米公開版(143分)の2種類があるようですが、今回は北米版にて鑑賞しております。
原作は未読。あまりに原作からかけ離れているためスティーヴン・キングが難色を示したという有名なエピソードがあるので、どれだけ違うのかを確認するという意味でも、原作を一読してみたいな。
さて、本作はホラー映画の金字塔として名高いわけですが、率直に言うと想像していた作品とは違った。
143分という長尺でありながら、決定的な事件が起こるのは後半30分。それまでの約2時間は長い長いセットアップである。
もちろんこのセットアップこそが恐怖を煽るわけで、とても大切だということはわかるのですが、それにしても長すぎやしませんか?もっと狂人と化したジャック・ニコルソンによる殺戮ショーが見られると思っていたのでそこは肩透かし。
にしても、冒頭の支配人によるホテル内部の説明があまりにも親切でなかなかに可笑しかった。
「ここが大ホールで〜。ここが迷路で〜。ここに雪上車が止まってて〜。ここが食堂で〜。ここに食料が保管されていて〜。あっそれと237号室にはなにもないから開けないでね〜…。」
おおっ、説明されたすべての箇所でイベントが発生しちょる。なんて丁寧な設計の映画なんだ…😅
プロット的にはホテルに取り憑いた悪霊が惨事を引き起こすホーンテッド・ハウスものなのだが、映画の作りはどう考えても閉鎖された空間と創作の苦しみにより狂気に陥った男の暴走を描いたサイコ・ホラーもの。
さらに子供ホラー、スーパーナチュラル、輪廻転生、悪魔憑き、スプラッターなど、種々のホラー要素を詰め込めるだけ詰め込んだ、ホラー映画欲張りセットのような作品である。
もう少し要素を絞った方が纏まりの良い作品になったのだろうが、このカオスさこそが本作の魅了なのかもしれない。
色々な要素のある映画だが、個人的に気になったのは舞台となるこのホテルが「インディアンの墓の上に建てられている」という点。
先住民の亡骸の上に成り立っているとは、このホテルは全くもってアメリカ合衆国そのものではないか。
そう思って観てみると、白人男性かつマチズモ的な思想を持つジャックの獲物は黒人に女性、そして子供(ニューエイジ)である。命を狙われるのがこの三者であることは偶然ではあるまい。
本作が制作された70〜80年代初頭のアメリカといえば、強烈なスタグフレーションと高い失業率に苦しんでいた正に冬の時代。
教師をクビになり、ホテルの管理人として糊口を凌ぐジャックがひたすらタイプするのは「All work and no play makes Jack a dull boy」という言葉。これは不況にあえぐアメリカ人を端的に表したもののようにも思える。
黒人や女性、ニューエイジなどの他者を排除する、マッチョイズムに支配された白人男性。しかしそんな彼らも不況という極寒の吹雪の中、出口の無い迷路に迷い込みやがては凍死してしまう。
そんな救いのない社会になったのは、そもそもアメリカという国が原住民を殺戮し迫害した上で成立したという建国の歴史があるからではないか。血塗られたアメリカの歴史はその根源に原因があり、それが現代においても我々を苦しめている。
そんな社会的メッセージもこの作品には込められているのではないでしょうか。
不安を煽る映像や劇伴音楽、強烈なキャラクターなど、ホラー映画のお手本のような作品であり、映画史にその名を刻むマスターピースとして扱われるのも納得な一作。
あまりにもパロディのネタになってしまったため、正直今観るとギャグっぽく見えてしまうところも多いのだが、そういうのも込みで楽しく鑑賞することが出来ました。
後に『バットマン』で宿敵・ジョーカーを演じることになるジャック・ニコルソン。確かにこの映画のジャックはほぼジョーカー。そりゃジョーカー役にキャスティングされる訳だ。
過剰すぎるジャック・ニコルソンの狂演には恐怖&爆笑間違いなし!ジョーカーの誕生譚として鑑賞するのも一興かも知れません😂♪
ホラーっちゃホラー
写真のシーンは奥さんと子供を追ってる時斧でお風呂場の壁を壊してるシーン
小説家?の父の仕事で冬の間営業停止するホテルの管理を任された。
どんどん気がおかしくなって、奥さんと子供は逃げ出そうとするが、父は二人を殺そうとする。
一番ホラーだったのは、子供の回想?シーンとお風呂場のシーン
原作と違うじゃないか。
感想としては、「原作と違うじゃないか。」と「終わり方納得いかないな。」だな。だってそうだろ?親父がキ〇ガイになっていくシーンは原作の醍醐味だし、そもそもなぜホテルの家守をするかというバックグラウンドの描写も浅かった。そして我らがダニーの心理描写をもっと頑張ってくれ。それに(原作では)偉大なるハローラン爺さんはフツーに負けてた。なんでだよ?アホか?続編では生きてるし、原作の末にあるダニーとハローランの会話とかすっごく好きだったのに。(年の離れた友情っていいなって思ったよ)そこら辺以外は数多のオマージュされた実績があるように、名作だと思います。
それと、ウェンディってもっと「顔だけは良いヒステリーママ」みたいなイメージあったけど、記憶に残る顔した彼女をウェンディ役に起用するのは如何なものか?と。
これがあの有名な!
このパッケージの写真は、よく見るけど何の映画かなー?と気になっていました。
初めて観たけど、インパクトがすごい!
何十年も前の作品で色々と批評がある中でこれだけの作品を作り上げたスタンリーキューブリックは、天才だと思う。
主演のジャックニコルソンも怪演ぶりが圧巻です。
子役の子の演技もすごい。
細かい映画の技法や伏線までは、自分の中で理解出来ていない部分があるけど、分からない所が多くても人を魅了にする映画だと感じました!
こだわった演出と絵で語りかけてくる
字幕で視聴。スティーブンスピルバーグの映画の中でオマージュされていたシーンを見れて満足。色々こだわっていて、娘と女(girlとlady)の単語の使い分けや過去を見せる力なのか幻覚なのかそれなのかなど謎解きをいろいろ仕掛けてきて面白い。最後の迷路のシーンでも迷路を昔行ってただけでなくそれを見ていたシーンなど伏線もしっかり貼っていて真面目にみると最高に面白い謎解き映画だと思う。でも写真の手に傷が残っていたことに違和感を感じて、もう少し調べてみたいと思った。
ジャックニコルソンの顔が
個人的には1番の見どころだと思います。
最初から宿していた狂気が表面化し、次第に彼を飲み込んでいく様が…名人芸ですね。
特に、バーカウンターのくだりは全て名シーンだったなあと。
いつかスクリーンで観たいなと思っていたので、午前十時の映画祭に感謝です。
観てて、ふと思ったのが、「あれ、こんなシーンあったっけ?」的な疑問符がちらほら。
観賞後、ポスターを再確認すると「北米公開版」の文言が!
版問題に無頓着で詳しくないのですが、図らずも「あの」北米公開版の初観賞となりました。
カットされていたシーンは概ね、作品理解の助けになるようなシーンが多めですね。上映時間が伸びた割に、そんなに嫌じゃなかったです。
冒頭の診察シーンと、保険の関係で酒は置いてないよーの件、これカットして良かったシーンなのかな。凄い大事な伏線かと。この機会で観られて良かったです。
ハロランさんのシーンが増えたりしてたのは、個人的に少し嬉しかったかな。(あんまり意味は感じなかったですが。)
ただ、骸骨パーティーシーンは良い意味でも悪い意味でも「やってくれたな」といった感じ。
キューブリック監督にしてはサービス過剰な気がしなくもないし、何よりジャンルの違うホラーを挟み込まれると違和感すごいっす。
個人的には、このシーンを観れて得した感が大きいですが、作品の質を担保するためならばカット筆頭候補でしょうね。
全体的に、映画館のスクリーンで観れたことで、ようやくこの作品を理解できたように思いました。
本作に限らず、映画好きが通るべき過去の作品は大量にあるわけで。
Netflix配信作品をタブレットで鑑賞も悪くないけど、できる限り映画館で観たいな、と。
シネコンもエクスプロイテーション邦画に上映コマ数を割くのは理解できるけど、リバイバル枠を拡充してほしいですね。
1980年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️✨
2021年7月、"午前十時の映画祭11"にて鑑賞。北米公開版(デジタル・リマスター)を観た。
日本初公開版よりも20分以上長いということだったけど、正直どこがどう違ったのかあまり良くわからなかった…双子の姉妹が最初の方に早々と登場する場面が違ったのかなぁ?ダニーが三輪車を漕いでいる場面が1番印象に残っていたから、えらく早くに登場したなぁとは思ったけど…。
やっぱり初めて観た時が1番怖かったなぁと改めて思った。
当時は、ダニーの超能力の意味とか良くわからなかったし、ホテルの得体の知れなさとか、現実と幻が徐々に入り混じっていく様とか、とにかく頭の中で"?"マークがたくさんつきながらも、ジャック・ニコルソンの気の触れた形相や演技にすっかり引き込まれ、怒涛の後半へ引きずり込まれていくというか…。
何度も観ていると、変に冷静になってしまって良くありませんな…笑
とか言いながらも、やっぱり面白かったですけどね…。
今回は、ジャックとバーテンダーとのやり取りにハマりました(笑)
恐怖のパフェ
原作未読の映画素人のレビューです.でもこの映画はまさに,恐怖のパフェ,しかも千疋屋とかの高級なやつ.それほどに全体像と内部構造が完璧な作品です.
恥ずかしながら怖くて敬遠していたのですが,レディプレイヤーワンをきっかけに意を決して視聴,なぜもっと早く見なかったのか!後悔しました.
本作品が飛び出してびっくり系のホラーと圧倒的に異なる点は,観衆に薄々なにが起こるかを予見させながらも,絶妙にずらした形でそれを提示することにあると思います.人間誰しも映画を見ながら,あー次はこうくるよね,とか思いながら見ると思うのですが,シャイニングは全然予想通りにこない!大体斜め上か斜め下なんです.これで観客は翻弄されるわけですよね.
だから高級なパフェみたいに,全体を見て「ふーんイチゴパフェね」,と食べ始めると,あれ,ぶどう!?あれ,チョコレート!?と最後まで驚かされながら圧倒されるんだと思います.犬人間とかほんと怖い.
ゆえに私は途中で耐えきれず中に何が入っているか調べてしまいましたけれども.Wikipediaがない時代に劇場で観られた方を尊敬してしまう,そんな作品です.
音楽も相まって、最初の方からとにかくいつ来るかドキドキの連続で、怖...
音楽も相まって、最初の方からとにかくいつ来るかドキドキの連続で、怖さが半端無し。本当に上手い演出だと思う。救世主かと思った黒人コックもアッサリと殺されてしまう意外性。迷路の森の使い方は流石に上手くていたく感心。ただ息子の超能力、予知能力がお話に十分に生きてこないのは勿体なさを感じた。半獣女?や血垂らしてるおじさん等、最後の方のお化け屋敷的な造形は今ひとつ。最後の写真は、主人公の生まれ変わりというか輪廻を示している様だが、あまりスッキリとはしない。ただ、全体的にジャックニコルソンが表現する狂気と映画全体の怖さは出色で、凄みのあるホラー映画の傑作とは思った。
なんじゃこりゃ!
ずっとあの有名なシャイニングってどんな映画なんだろう?って思い続けてとうとう見たけど、なんじゃこりゃ!?
とりあえず冬に豪雪で締め切られてしまうホテルの管理業務を請け負った一家が、冬の閉鎖的な空間で正気を失って(特に父親)、過去にあった悲惨な出来事をオマージュしていくっていう映画なんだけど結構あっさりした内容で驚いた。
内容よりも惹かれるのは演出。抽象的なドアの赤い洪水や、惨殺された双子の女の子の奇妙な雰囲気、過去のホテルの人物と邂逅して引きずられていく父親の演技と演出。息子の不思議な姿を見せない友達etc…という世界観を魅せてくれた映画だった。
父親凍死してホテルの昔の写真に映ってたみたいだけど、あれ狂気に取り込まれたってことかな?
納得できないっていうより、あれは何だったんだろう?っていう不思議な印象を持たせてくれた。
あとall work and no play makes Jack a dull boyの▽になってるとこ、しっかり遊んでて笑った。
最後になんかブッ込んで来ましたね
有名な映画なので当然作品の存在も、ジャックニコルソンの象徴的な顔面ショットも知ってましたが、公開から40年にして初鑑賞。
有名だけど昔の映画って、現在進行形の年齢だったり時代背景で面白く無かったりするんだよなぁ、と正直舐めてました。
が、オープニングの重厚な音楽で一気に引き込まれ、
そこから終始音楽が、不快と言うか不気味な世界観を引っ張って行きます。
それに相まって、子役ダニーの三輪車を駆るシーンの印象的な床の柄とカメラワーク。
何も起きないのに、なんか怖い。
2人の女児はただシンメタリーなだけで怖い。
ルーム237に何かありそう、怖い。
奥様のクッキリ引っ込んだ大きな二重瞼と歯並びが、登場した瞬間から怖い。
そして勿論、ジャックニコルソンのフツーな訳が無い顔(既にジョーカーの要素入ってる)が怖い…
英語だから正解には判断出来ないけど、子役のダニーの演技の上手さも作品を引き締めます。
「冬季管理するホテルがインディアンの墓地の跡地だった」「過去に冬季の管理人が凄惨な事件を起こした」
そんな曰く付きのホテルの管理人に就任し、更に雪により孤立した閉鎖空間。精神が異常をきたすのも分かります。自分ならこの仕事無理だなぁ。
主人公ってそもそも物書きで生計立ててたの?
何処から何処までが妄想なの?
幽霊?
理解できない不気味さがジワります。
嗚呼それなのに、象徴的な顔面ショット以降は、ありがちな追いかけっこ…。
足跡を消すダニーの機転には拍手を送りたいですけど、前半のモヤモヤザワザワした間接的な恐怖感皆無…
そりゃダニー助かるでしょ〜。
自分的にインディアン墓地跡地の白人へ呪いでも、閉鎖的な空間で発狂した男の怨念でも理由付けはどうでもよく、「理解出来ない狂気空間があるんだよ」って解釈で、尻窄みだけど何となく有りだなって終わったんです。
そしたら、最後に1921年撮影の主人公に似た人物が映った写真をブッ込んで来た。
何なの?ホテル設立年でも無いし、
主人公に似た人物はホテルの前オーナー?
本人なの?
生まれ代わりがまた呪いのホテルに導かれたの?
そもそも少年ダニーの能力(それがシャイニング?)も中途半端だし、
なんかモヤモヤした余韻を残す終わり方、嫌いじゃないです。
このホラーは楽しい!
ホラー具合がちょうどよくて、しかも意外に面白可笑しかったりして、楽しい映画でした。
やはり双子の少女が登場する場面はイイ。
言ってみれば、ダイアン・アーバスのあの双子の写真と、不思議の国のアリス(異界のイメージ)のスタイリングがかけ合わさったかのような、じわじわと伝わる不気味さが、とても程よく感じます。
その程よい見た目と、もろもろのお膳立てのおかげで、双子が目に入ってから幽霊だと気づくまでに一瞬タイムラグが発生します。
双子の異常な雰囲気でゾッとし、幽霊だと気づくことでゾッとし、そして、そう気づくまでに掛かったわずかな時間=自分が隙をみせた時間の分を思い、もうさらにゾッとするのです。
丁寧に狙った絶妙な怖さが素敵です。
気づくまでのタイムラグによる効果は、“redram”の文字や、タイプライターの「仕事ばかりで遊ばない」のシーンでも言えるでしょう。実はさっきから既に異常だったという気付きがショッキングです。こういう点が、急な大きな音や、血とかグロさのインパクトで怖がらせるコンテンツとは、また違った良いところだと感じます。映画作品である以上、作品の発想やセンスに感動できるというのは嬉しいです。
可笑しいシーンは、やはり奥さんのビビリっぷりでしょう。おもわず「がん張れがん張れ」と応援したくなってきます。けど、なんだかんだで彼女、割と最強です。狂った夫から的確に逃げ、正確に反撃し、効率よく息子を守って、無傷のまま脱出に成功する実力者です。スポーツ観戦的な気分で観ると結構楽しめました。
ホラー映画は今までほぼ観てこなかったのですが、こういう怖さはすごく楽しめるので、他にも観てみたいと思いました。
【”オーヴァー・ルックホテルの惨劇再び。”ジャック・ニコルソン演じるジャックがホテルに棲む魑魅魍魎に取付かれ、狂気を帯びていく姿が怖くて、怖くて・・。音響、色調を含めて引き込まれる作品。傑作である。】
<Caution! 内容に思いっきり触れています。
未鑑賞の方は、本作鑑賞後に、私のレビューの瑕疵を御指摘いただければ、幸甚です。>
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ー 映画内容は、人口に膾炙しているとは思うが・・、簡単な粗筋。 -
■作家を志す、ジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)は妻ウェンディと、幼き1人息子ダニーと共に、コロラドホテル:オーヴァー・ルックホテル(展望ホテル)の冬季管理人(ホテルは雪のため、10月~5月まで閉鎖される・・)として採用され、3人で延々と山道を3時間半走るシーンから物語は始まる。
ダニーはイマジナリー・フレンドのトニーが脳内に居り、トニーとして喋る際には、人差し指を折りながら”奇妙な声”で喋る・・。
ウェンディは夫に対し、オドオドしながらも、忠実に従っている・・。
且つて、一度だけジャックは酔った勢いで自分の原稿を散らかしてしまったダニーの腕を”少し強く”引っ張り脱臼させてしまった苦い過去がある・・。
そして、物語は章立てで進む。
<1.インタビュー>
・ジャック・トランスがコロラドホテルの冬季管理人として採用されるかどうかの面接のシーン。ホテル支配人から告げられる事実。
【1970年の冬の悲劇 冬季管理人だったグレイディが孤独に耐え切れず、精神に異常を来し、妻と双子の幼き娘を斧で切り刻んだ・・】
<2.ホテル閉館の日>
・ホテルの料理長のディック・ハロランが初対面にも関わらず、ダニーを笑顔で”先生”と呼ぶシーン。ハロランが真面目な顔でダニーに”シャイニング”の持ち主であると伝え、決して【237号室】に近づいてはいけないと諭す。
”何かあると、【痕跡】が残る・・”
ー ハロランは、この時点で、トランス一家の今後に不安を感じていた事が巧みに表現されているシーンである・・。勿論、観客にも・・。心がざわつき出す・・。-
<3~7.>
・ホテルが閉館されてから、一カ月後。その後、火曜日、木曜日、土曜日、月曜日、水曜日とテロップが示され、観る側にはジャックが徐々に精神に異常を来していく過程が描かれる。
そして、ダニーはホテル内で、水色の服を着た双子の少女達から”ハロー、ダニー・・。遊びましょう・・”と告げられ、直後惨劇のシーンを見る・・。
ダニーは父に”ママとボクを苛めないで・・”と伝えるが・・。
ー 劇中に度々現れる双子の姉妹の姿と、溢れ出る血の波のシーン。
じわりじわりと観る側に恐怖が伝わってくる・・。怖いが鑑賞を止められない・・。ドンドン、キューブリックの仕掛けた罠に嵌って行く・・。-
・そして、ジャックは誰もいない筈のバーに足を運ぶと、無人だが煌々と灯りの灯るシャンデリア・・。
カウンタ―に座ると、慇懃な表情のバーテンのロイドがいつの間にか立っており、バーボンの氷割ロックを頼むジャック。3年前に、自分がダニーにしてしまった脱臼の件を語る。
ー 徐々に、ジャックが”コロラドホテル:オーヴァー・ルックホテル”の魑魅魍魎に触れていく・・ファーストシーン。
自宅でTVを見ていたディック・ハロランの驚きの表情の入れ方も絶妙である。
【237号室】に導かれたジャックが浴槽から出てきた全裸の女性を笑みを浮かべながら見つめ・・、抱擁。だが、その女性はいつの間にか腐乱した老婆になっている・・。ー
・ディック・ハロランはホテルに電話するが、繋がらない・・。
【RED”R”UM・・・】
・バーはいつの間にか、大勢の人々で賑わっている。何の疑問も持たず、カウンターに座り、バーテンのロイドに、バーボンの氷割ロックを頼むジャック・・。
席を立った際、ウエイターの老人とぶつかり、服が汚れ・・、二人は真っ赤な色調のトイレで会話を交わす。
ウェイターの老人”グレイディ”は、丁寧にジャックの服装の汚れを拭いながら
”息子さんは外部の者を連れ込もうとしている・・、黒人の料理人を・・。
【我儘ですな・・、母親が悪い・・。良く躾ける必要があります・・。少し厳しく・・。】”
ー 怖い、怖い、怖い、怖い・・。ー
<8.8am>
ー 劇中流れるガラスを引っ掻くような耳障りの音も、心臓の鼓動のような、ドックドックという低音の音が延々と響き、徐々に音量が上がる。見ている側の鼓動も上がる・・。-
・ディック・ハロランは深刻な表情で、雪上車でホテルに向かう。
・ウェンディは夫がタイプライターで打った、大量の原稿を目にする・・。そこに延々と記されていた言葉。
”All work and no play makes Jack a dull boy " ”All work and no play mekes Jack a dullboy" ”All work and no play mekes Jack a dullboy" ・・・
ウェンディの驚愕の表情と背後から突然、声を掛けるジャックの言葉
”傑作だろ?”
- 劇中の”恐怖”の白眉のシーンの一つである。夫の狂気に気付く妻。
”あちら側:”ホテルに棲む魑魅魍魎の世界”に行ってしまった夫・・。-
・階段を上り逃げるウェンディを追うジャック。ウェンディは必死にバットで夫を殴りつけ昏倒した夫を食品倉庫に閉じこめ、雪上車で逃げようとするが、バッテリーが壊されていた・・。
<9.4pm>
・閉じこめられたジャックを扉の外からグレイディが、挑発するシーン。
そして、扉の鍵が”カチャン”と開けられる音・・。
・ハロランが漸くホテルに到着するが・・。
ー ここのシーンの、初見時の絶望感は今でも覚えている。
ハロランがウェンディとダニーを”シャイニング”の力で助けると思って、一縷の望みを託していただけに・・ー
・眠っている母の枕もとで、RED”R”UM・・と繰り返すトニー:ダニーは恐怖の余り出て来ない・・。そして、扉に書かれた文字。
【”かの有名な”ジャックが斧で、扉をたたき割り、その隙間から狂気の笑顔を浮かべた髭面を覗かせるシーン・・。】
”ウェンディ・・。ただいま・・。”
逃げる二人。
びっこを引きながら、追いかけるジャック。
その光景を見て、血まみれのグレイディが笑いながら口にする言葉・・
【”盛会じゃね・・”】
ー もう、もう、もう、怖すぎます・・。-
ダニーが雪中の迷路の中、必死に逃げるシーン。斧を持って追うジャック・・。
<ラスト、ホテルに飾られた、1921年7月4日の舞踏会の写真の中で、笑みを浮かべながら映っているジャック。
そして、彼も又、”コロラドホテル:オーヴァー・ルックホテル”の魑魅魍魎の一員になった・・。>
■蛇足
1.初鑑賞は、学生時代の級友の部屋である。
彼は映画館の息子であり、頻繁に映画館の無料券を振舞ってくれた、私が映画好きになったきっかけを与えてくれた貴重な友人である。
その彼が、夜中に一人で今作を鑑賞していたが、余りの怖さに鑑賞を中断し、翌日私たち数名が呼び出され、”皆で一緒に”鑑賞した。が、それでも、充分に怖かった・・。
2.今作から39年後に、大人になったダニーが自らの過去に決着をつける映画が公開されるとは、思いもしなかったなあ・・。
<2024年4月5日 一部改訂。今作品は私にとってホラー映画の金字塔であり、哀しき家族の物語である。亡きスタンリー・キューブリック監督作品の中でも、印象的過ぎる作品でもある。>
一気に観れました!
あれは何?ってところも含めて怖面白かった。シャックニコルソンが徐々に悪に侵食されていく様が素晴らしく、その悪が悪霊なのか、自分自身の精神的に追い詰められた部分なのか、今までの理性を失っていくような、自分でなくなるような…色々な全てが合わさって豹変していく演技が素晴らしかった。お母さん役の女優さんも綺麗ってだけでなく、日本人にはない深い二重のお顔立ちで弱々しくされており、恐怖を煽って適任だと思いました。怖がりながらも息子を勇敢に守るって所には共感してしまった。ダニーがとにかく可愛い。昭和的な音響で分かってはいるものの怖さを煽られましたね。残念だったのはダニーの能力を理解してくれていた黒人の料理長さん。ダニーと同じで未来がわかる『シャイニング』と言う能力で異変を察知しホテルまで来てくれましたが…殺されてしまいました。わかっていたなら拳銃など身を守るものを持って来て欲しかった。ホテルに来て一度も誰とも会う事なく殺されてしまった。ホテルに来なければ…何で!って残念に思いましたね。
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