劇場公開日 1980年12月23日

「冬季の《巨大なホテル》に半年閉ざされる《恐怖と狂気》」シャイニング 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0冬季の《巨大なホテル》に半年閉ざされる《恐怖と狂気》

2023年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

笑って斧を振るいドアを破るジャック・ニコルソンの顔が本当に怖い‼️
金切り声で叫び顔を恐怖で引き攣らせる妻・シェリー・デュバルも
勝るとも劣らぬ怪演!!
この映画の数々のシーンは脳裏に刻み込まれ忘れられない。
1970年当時の管理人が冬に閉じ込められたホテルで気が狂って、
妻と娘2人を惨殺して切り刻んだ・・・
面接でジャック(ジャック・ニコルソン)はそう聞かされます。
怖いシーン。
☆エレベーター前で並んで立つ双子の少女。
☆後ろのエレベーターの隅から「血の海」が滝のように迸り溢れる。
☆斧を奮ってドアを破るニコルソンの狂気の表情。
☆双子の少女の前に転がる死体。
☆279号のバスタブの美女。ニコルソンに抱きつくと老婆の
…………腐りかけた死体に変わる。
☆高い生垣で遮られた迷路でダニーを追っかけ回すシーン。
☆そして氷漬けになったニコルソンの死に顔。
超能力のある息子のダニーはトニーという名の架空の友達を口の中に
育てている。
そのトニーが「RED RUM」「REDRUM」と譫言のように呟く。
その文字を鏡に映して読むと「MERDER」になるのです。
「シャイニング」はスティーブン・キングの原作を
スタンリー・キューブリック監督が映画化。
今では《ホラーの古典》と呼ばれる不朽の名作ですが、出来栄えに激怒した
キング氏は資本を集めてテレビ版の「シャイニング」272分の3エピソードで
撮り直した程です。
スティーブン・キングの「シャイニング」は一言でいうと家族の愛と葛藤の物語り。
狂気に駆られた父親がシャイニングを持つ息子ダニーを思う気持ちに寄り添います。
そしてキング氏が何より怒ったのはキューブリック監督のラストシーン。
ロビーに飾られた1921年7月4日舞踏会の記念写真の中央に
ジャック・ニコルソンが写っているシーン。このラストシーンが原作を大幅に改変
したとしてキューブリック監督を執拗に批判したそうです。
この映画はキューブリック監督の、
「映像」「音響」「タイプライターへの拘り」「閉ざされた迷路」
などなど極上の恐怖をお膳立てしてくれるのですが、
人間が半年、この巨大な展望ホテルに閉じ込められて
【過去の亡霊】そして【過去の惨劇】と向き合う恐怖をから狂気に陥る。
【展望ホテル】そのものが恐怖の源泉。
ホテルこそ魔物=このホラー映画の主役・・・でした。

琥珀糖
Moiさんのコメント
2024年9月18日

コメントと共感をいただきまして
こちらこそありがとうございます。琥珀糖さんのレビューを読み進むうちに止まらなくなってしまいました。ダイレクトに心に入ってくる感想に共感が増えるばかりです。お騒がせしてすみませんでした。キューブリック作品。自分も大好きです。各作品のテーマと映像美というかほぼ写真である洗練された構図がアンビバレンスな雰囲気となって作品の風格を創っていると感じるのです。

Moi
LaLaさんのコメント
2023年9月4日

琥珀糖さん
ジェニファーの映画に
コメントありがとうございました。

この映画も、インパクトがありましたね。
レビューしていませんが(^^ゞ
怖かったです。
キングの小説でしたね。
何と言っても、ニコルソンさんの怪演が
顔芸っていうのでしょうか(´▽`)
ひゃ~って恐ろしかったです。
バーカウンターでの一人芝居?、も
ストーリーが進んでゆくうちに
なるほどって。。。
息子役の可愛い男の子が
また、いい演技していましたね。
奥さん役も印象にのこりました。
そして、
ラストの写真が物議を呼んだのですね。
私も謎でしたが、なんとなくわかったような・・
流血のシーンも怖いけど映像美でしたね。

LaLa
2023年8月31日

ジャック・ニコルソンの
怪演、確かに狂気でした☆

美紅
シネマディクトさんのコメント
2023年8月29日

キングがキューブリックを嫌ってたのは知ってましたが、記念写真の事は知りませんでした。ありがとうございました。

シネマディクト
CBさんのコメント
2023年8月29日

> 1921/7/4の舞踏会の記念写真の中心に
そうなんですね! その点を確認するためにも原作読まなきゃ、って思いにされます。教えていただき、ありがとうございました!!

CB
活動写真愛好家さんのコメント
2023年8月29日

琥珀糖さん、詳細で素晴らしいレビューありがとうございます‼️
きっとスティーヴンキングは原作に忠実に映画化しないと我慢できないんでしょうね。この作品が公開されて以来、いたるところでキューブリック批判を繰り返してましたもんね。私は誰がなんと言おうとキューブリックに1票。原作通りに映画化してたら、これほどの名作になったかどうか判りません。

活動写真愛好家