フラガール : 映画評論・批評
2006年9月19日更新
2006年9月26日よりシネカノン有楽町ほかにてロードショー
ダイナミックな起承転結を形作っている脚本が圧巻
昭和40年、常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)の誕生を支えた裏方の人々を描く実話であり、近年の日本映画でこれほど心が揺さぶられ、笑って泣いた映画もない──今年度米アカデミー外国語映画賞“日本代表”に選出されたのも納得!
2時間の物語には30分ごとに強力なプロットポイントがあり、ダイナミックな起承転結を形作っている脚本が圧巻である。
猛特訓の末、炭坑夫の娘たちがプロのフラダンサーになっていくさまは、「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」同様の「共同の達成感」があって爽快だ。また、東京の大歌劇団(松竹歌劇団SKD)のラインダンサー、いわば落ちこぼれで、都落ちしてきたダンス教師(松雪泰子)が彼女たちに教えることによって「踊りの歓び」を新たに見出すという趣向もいい。見る側は熱血先生と先生を慕う生徒たちの成長を見守ることができ、それが感動のツボになっている。そして先生と生徒全員が「スマイル!」で満たされたとき、不況の炭鉱町の「希望の光」だった彼女たちは、「フル・モンティ」「ブラス!」「リトル・ダンサー」「遠い空の向こうに」同様に、とてつもない「奇跡」を起こす!!
フラガールのリーダーを演じた蒼井優の大団円を飾るフラダンスに、モーレツに感動してしまった。岩井俊二の秘蔵っ子だった彼女だが、これで日本映画の宝になった。
(サトウムツオ)