男たちの大和 YAMATOのレビュー・感想・評価
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超有名戦艦に搭乗した名もなき兵士たちの戦争
総合70点 ( ストーリー:75点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
大和という巨大戦艦が登場しながら、描かれる中心は艦内の下士官と兵士たちで、戦争における戦術が細かく取り上げられるわけではない。戦闘艦としての大和のこともそれほど描写されないしこれならば別に大和である必然性はないような気もするが、名もなき一般兵士と彼らに密接な一般市民という目線で戦争を描くのはありだと思う。当時の人々の市井での生活や戦争に対する心構えや軍隊での日常、そして実戦を経験して死に直面し終戦を迎えた辛苦は表現されていた。平和な時代を生きられて幸せだとつくづく思う。
しかし作品の冒頭、鹿児島から船を借りようとする場面、あまりに状況を説明しようとしすぎる科白や演出にはかなり白けた。これはもうちょっと何とかならないものか。だが過去の話から現代に再び帰ってきた最後のほうは、それまでの経過を踏まえて良いと思えた。
大和の実物大模型を尾道の造船所に製作した美術は大掛かりだが、作り込みは必ずしも最高とは言えないし、戦闘場面を中心にCGはまだまだ。努力は認めるが、作り物感が滲み出てしまう。でもこの映画は戦闘の迫力に重点を置いているのではないだろうから、こんなものだろうと割り切った。実は尾道までこの大和の模型を見学に行ったのだが、出来の質感はともかくとして大和の大きさを漠然と捉え実感するにはいい体験だった。
生き残ってくれてありがとう
この映画が公開された2005年は終戦60年に当たり、多くの戦争を意識した映画が作られたが、いずれも変化球で単なる娯楽作でしかなかった。「ローレライ」「戦国自衛隊1549」「亡国のイージス」…。
真っ正面から描き、最も心に残ったのは、この「男たちの大和」だけだった。
プロデューサーは角川春樹なので、戦艦大和を題材にしたどんなにクサい内容で戦争美化の映画になるのかと思ったら、そうではなく、なかなか胸に迫る感動作だった事に正直驚いた。
大抵日本で戦争大作映画を作るとなると、ビッグスターが軍の上層部を演じ、当時の背景や戦略などを描く少々取っ付きにくいものが多いが、本作は少年兵の目線で描かれ、分かり易くすんなり作品に入って行けた。
史実に沿った実録戦争映画の場合は前者でイイが、戦争の虚しさや哀しさを描く場合だったら、後者。勿論本作は後者に当たる。
少年兵たちは国の為ではなく、家族や愛する者をただ守る為に戦った。そして散って行った。
少年たちにそんな重荷を背負わせ、明日の日本の芽となる彼らの命を無駄に散らせた戦争は、やはり大きな罪だ。
生きて帰って来た者には容赦ない言葉が浴びせられた。
「何故お前だけ生きて帰って来た?」
「国の為に死んだ者たちに対して恥とは思わないのか?」
しかし、今は違う言葉がはっきりと言える。
生き残ってくれてありがとう、と…。
「死ぬ覚悟」と「生きる覚悟」
映画「男たちの大和 YAMATO」(佐藤純彌監督)から。
「戦艦大和」「第二次世界大戦」を題材にした映画は
数あれど、悲しいだけではなく、男気みたいなものを
感じることが出来た作品であった。
「大和」が、最終決戦の場となる沖縄に向かう戦場、
兵士が、上官に尋ねるシーン。
「『武士道』と『士道』の違いは何ですか?」
長島一茂氏演じる上官が、落ち着いた声で
なんと答えるのか、興味津々でメモを片手に待った。
「武士道とは、見返りを期待せずに死ぬ覚悟。
「士道とは、死ぬ覚悟を内に秘めて、
人に恥じない生き方をすることだ」と定義し、
その答えに部下は「死ぬ覚悟」と「生きる覚悟」ですね、と
悟るように言い放った。
今まで、なかなか理解できなかった「武士道と士道の違い」。
難しいことを簡潔に説明する士官は、最後にこう付け加えた。
「覚悟を決めるということは、誰にも生易しいことではない」
辞書によると「覚悟」とは、ある事態を予期して心を決めること。
心を決めるって、生易しいことじゃないよなぁ。
反町っすねぇ!!
歴史的に、子供たちに伝える意義のある映画と思えました。
でも、表情や戦場の雰囲気作りが浅い気がしました。戦時中はもっと大変だったんじゃないかな、って気がして、キレイに作っちゃった感あり。
そんな中でも気合いを表現する反町は群を抜いて、イイ味出てたし、未来を感じさせる若手もいましたね。
あそこまで大物を並べる必要はなかった気が
思ったより戦争美化しておらず、悲惨さ、哀しさがメインで描かれていたのでちょっと安心しました。でも、あのテーマなら戦艦大和じゃなくてもよかったような気もします。
大和そのものは、実物大のセットということでしたが、ちょっと作り物っぽく見えました。なぜでしょうね?
大物俳優がたくさん出てくるんですが、あまり個性を発揮していたようには思えません。あそこまで大物を並べる必要はなかった気がします。
戦後60年。たった60年…。
今年(2005年)は、戦後60年に当たります。戦争当時をリアルタイムで生きておられた世代で、存命されておられる方々も年を追うごとに少なくなってきています。そして、当然のことながら戦争を知らない我々の世代が、詳しく知りもしないで当時の戦争を『あれは日本が悪かった』などと、好き放題に論じています。国家がどうとか、体制がどうとかそんなことを度外視して、最前線で戦った人々の思いを観てください。
こういう映画が作られると、『戦争を美化している』とか『日本はまた、軍国主義へ戻ろうとしている』などという声が必ずどこかで聞かれます。でも、この映画の中で戦っている兵士たちは、『他国を侵略してやろう』などと考えていた訳ではなく、皆『この国を、愛する人々を護りたい』そう思い、戦って散って逝ったのです。もし、この映画を観て『日本も、もう一度軍備を増強して、戦争をすべきだ!』などと考える輩がいたら、そいつは頭の構造がオカシイただのアホだと思います。何をどうこねくり回そうと、我々が繁栄の上に胡坐をかいていられる、この現代は当時の日本人の多大な犠牲の上に成り立っているということを、決して忘れてはならない…、そういったことを改めて感じさせられる映画です。
冒頭にも書きましたが、今年は戦後60年です。そう、たった60年前の日本では、10代半ばの青少年たちが、『死ぬ覚悟はできている』と言って銃座に座り、敵戦闘機からの機銃掃射も恐れずに戦っていたのです。今の日本の若者に、そんなことができますか?簡単に他人を傷つけ、『生きている実感が感じられない』などとヌカす連中に…。俺も偉そうな事を言ってますが、実際には“死ぬ覚悟”などなかなか出来ないでしょう。弾が当たれば、誰だって痛いんです。彼等も本当は恐かった、恐ろしかったはずです。でも『愛する人を護りたい』という気持ちが、彼等を強くしたんだと思います。
決して戦争を肯定するつもりはありません。しかし、過去に起こった全ての戦いを過ちとして、それを起こした者たちを後世の者が一方的に断罪することなど、あってはならないことだと思います。少なくとも、この日本という国においては…。
この映画、観ていて幾つかの難が有ります(編集が荒かったり、脚本に“?”を感じる処が有ったり…)。しかし、現代の日本人が忘れかかっている“大和魂”(決して、戦うということのみに限定されるモノではない)を思い出させてくれる映画だと思います。試写が終った後、年齢層の高かった会場のどこかから拍手が沸き起こったのが印象的でした。
決して悪くはないが、あまりに古風すぎるのでは?
松山ケンイチやその恋人役の蒼井優など、若い世代の好演が光る1本。が、ところどころで挿入されるナレーションやテロップが、あまりに古めかしくて頭がクラクラした。あと、反町、中村、鈴木京香(この人は、何を演じても一緒)は、演技に力が入り過ぎで興ざめ。
決して悪い映画ではなく、気合いの入った戦闘シーンなど見所も多いが、現代のシークエンスは明らかに蛇足。時代という抗えない壁を前に、散らざるを得なかった少年兵たちの姿が物語の根幹なのだから、「余計なことをしちゃったなぁ」というのが正直な感想。
しかし、角川春樹というタイクーンは、現在の日本映画界に必要な存在だと痛感したのも事実。マーケティングばかりが先行し、意欲的な企画がなかなか生まれにくい状況の中、稀代の大ボラ吹きである彼の旗ふり、いや最後の狂い咲きに期待したい。 あ、順調に狂った感じで「蒼き狼」は大ゴケしましたが(笑)。
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