「原作のロンドンを大胆にシカゴへ置き換えた傑作カルチャー映画」ハイ・フィデリティ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
原作のロンドンを大胆にシカゴへ置き換えた傑作カルチャー映画
主人公が第4の壁を超えて、これほど観る者に向かって自分語りを繰り広げる作品も珍しい。身の回りにこんな鬱陶しい奴がいたらぶん殴ってやりたいところだが、しかしフリアーズ監督の采配の巧さというべきか、ジョン・キューザックのどこか大人になりきれないベイビーフェイスのなせる技というべきか、本作ではついつい黙って聞き入ってしまうのだから、これは相手の術数に完全にはまり込んでいると言わざるをえない。
ところで、本作は英国作家ニック・ホーンビィの原作ではロンドンが舞台だった。それを完全にアメリカ映画、それもシカゴを舞台にしたローカル映画へと置き換えてしまっているあたりが興味深い。それでも脚色チームは迷った時には原作の魂を忠実にたどることを心がけたとか。同様の流れは『2番目のキス』でも見られる。表層的には英米で大きく異なれども、核にあるものは変わらない。そこがホーンビィ作品が愛される理由なのかもしれない。
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