劇場公開日 2005年10月29日

「原作のファンとして」春の雪 ぐでやまさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5原作のファンとして

2024年1月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

原作を読んだものなら分かる、
三島由紀夫の紡ぐ言葉があまりにも美しいのです。
「春の雪」原作を読むだけでも本当に体力の使う作品です。それを映像化するとは…。

妻夫木さん演じる松枝
か弱く卑屈で物語を拗らせる
それでもまだまだ足りない

竹内さん演じる聡子
表情や声色だけでなく指先の動きまで麗しい
それでもまだ足りない

高岡さん演じる本多
これは純粋に人選ミス感が強い
松枝に対する崇拝が全く感じられない
(高岡さん原作読んでないのでは?)
ただ、松枝(妻夫木さん)の端正な顔立ちや弱々しさを引き立てる要素にはなったかもしれない

脇を固める俳優陣
どちらかというとこちらの演技が素晴らしかった

人間の想像し得る限界の美しさを表現する
三島文学に挑んだ作品。
あまりに他者の評価が低く驚きました。
その多くが原作を読んでないのではないか?
清顕が身勝手で腹立たしい?
それが清顕ですよ。

私はこれを映像化した製作陣に感謝したい。

一つ言っておきたいことは、
春の雪は豊饒の海四部作の第一部
でもこれ、第二部以降を製作する気無いですね。
清顕の3つの黒子を本多が見つけるシーンが無いことが残念でした。あぁ、この映画は第二部「奔馬」を製作する気はないのかと。
輪廻転生を描く作品を第一部のみで終わらせたら、それはただの1人の人生劇です。

だとしても、この映画は美しい。

ぐでやま