ファイナルファンタジー : 映画評論・批評
2001年9月14日更新
2001年9月15日より日本劇場ほか全国東宝洋画系にてロードショー
“プレイ”できない「FFの新作」にキミは満足できるか?
「ファイナルファンタジー」は、全世界で1000万本以上を売り上げている同名ゲームシリーズの初の映画化。とはいえ、物語も世界設定もゲームとはほとんど関係がない。剣と魔法の世界を舞台にしてきたゲームに対し、映画は2065年を舞台にしたSFだ。総製作費は、なんと160億円。人間から爆発まですべてがCGで描かれ、無精ヒゲまで表現された肌の質感、地球を襲う半透明のクリーチャー、立体映像を表示する未来のコンピュータなど、さすがに映像面の見所は満載だ。
しかし一方で、物語は直球勝負。謎の敵を倒していくと最後に世界(もしくは生命)の神秘に遭遇する、というゲームシリーズ恒例の構成は、意外性も一切ない。
物語や世界設定は変わっているが、まさしくこれは、大作ゲームからボタンを押す作業の部分を削除した「ファイナルファンタジー」の新作なのだ。しかしはたして、ファンは映画だけを完結したものとして受け入れられるのだろうか? ファンとしては、ゲームの世界を、映画だけでなくガンシューティングやアドベンチャーなど、さまざまな形で楽しめるのが理想。そんな体験ができる時代の到来を思わず願ってしまった。
なお、エンディングで取って付けたように流れるラルクのテーマソングは、ビデオクリップ(製作費6億円)を見る方が絶対にオススメ。CGの楽しさが純粋に堪能できます。
(戸部浩史)