「退屈でした。」エクソシスト ビギニング カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
退屈でした。
ナチの非人道的所業を目の前にし、かつそれに加担差ざるを得なかった事で神を信じられなくなり信仰心を捨てた過去を持つ元神父の考古学者が、悪魔退治をきっかけに信仰心を取り戻すまでの話。
本筋は主人公の内面の変化を表現したいため、悪魔との心理的、直接的な戦いは主人公が立ち直るためのただのキッカケに過ぎず、それを期待して観るとスカされた感じ受けてしまう。
「タクシードライバー」に代表されるように、心を病み大きなトラウマを持ってしまった男がもがきながら克服し、残りの人生を少しだけ前を向いて進もうとする話が大好きなポール・シュレイダー監督の「Dominion:Prequel to the Exorcist」の即時撮り直しとして引き継いだレニー・ハーリンの苦悩と葛藤がヒシヒシと伝わって来て観ていて辛くなる。
延々と助走が続き最後に大きな見せ場を持ってくるという手法を取るにはこの監督では役不足だし、テーマ的にも無理があったと思う。
ドキュメントや文芸作品ではないので、やはり所々にイベントを配置するなど鑑賞者を飽きさせないための映画的演出は不可欠だったのではなかろうか。
作品と監督がラジー賞にノミネートされた事は非常に残念だったが、アクションに定評があるはずのレニー・ハーリンが脚本を書き直し、自分の土俵で戦う事を条件に引き受けるべきだったのではと他人事ながら思ってしまった。
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