ザ・フライのレビュー・感想・評価
全8件を表示
変態的SFホラー映画の問題作
気持ち悪い。とにかく気持ち悪い。
普通はそれは評価を下げるものとなるはずなのに、この映画ではそうならないのです。
逆にその「気持ち悪さ」こそが、今作の一番の魅力なのかもしれません。
「巨大な幼虫を妊娠する」とか、「ゲロをぶっかけられ、皮膚がドロドロに溶ける」などの胸糞的表現が多く、でもそれが不思議と〝クセ〟になる。それがデヴィッド・クローネンバーグ映画の真の恐ろしさなのかもしれません。
そして、最後には悲惨なセスとヴェロニカの別れが待っています。それが『猿の惑星』を彷彿とさせるような、「バットエンドなんだけど、どこか胸糞とも言えない」感を生み出しているとも感じました。
それから登場人物も少なくて、スッと物語に入り込めるのも今作の魅力です。
二日は引きずるような後味を残す映画であるものの、間違いなくモンスター映画の中でも重要度の高い名作だと思います。
【個人的キーワード】
「昆虫に、政治理念はないのさ。奴らは残忍で、同情を知らなきゃ、歩み寄りも知らない。……昆虫を信頼してはいけないんだ。……僕は昆虫の、政治家の第一号になりたい。なれればだけど、でも……僕、今とても怖いんだ……」
───セス・ブランドル
クローネンバーグが愛を魅せる。
ホラーというジャンルに入れてしまうのはちょっとしのびない愛の映画だと思います。デビッド・クローネンバーグ監督は難解な作品が多いと思いますが、この作品は大衆向けといいましょうか、非常にわかり易いラブストーリーじゃないでしょうか。
当時としては、結構凝った特撮技術を使っていて、CGなれしている今ではむしろ新鮮に見えたりして。
さて、内容ですが、転送装置を研究している科学者がメインかな。(ジェフ・ゴールドブラムが演じてるんですが若いです)
それを陰ながら支えていく女性とのラブストーリーですが、ホンッと彼女が不憫です。
ふとしたことから、自らの体で転送装置の実験を行うのですが、偶然にも紛れ込んでいたハエと、遺伝子レベルで融合してしまう。
最初こそ、実験の成功に加え、身体機能が上昇したことで、いい気になっちゃうんだけど、徐々に体が変化していってしまう。
この身体の変化を特撮で見せるんだけど、チープながら、なかなか見応え有ります。(特にラストはね)
そして、この変わっていく彼氏を何とかしようとする女性が健気であります。まぁ、恐怖に怯えるところもチラホラありますが。
最期はホンッと切ないですね。マッド・サイエンティストにありがちな悲劇になります。
久しぶりに見たんですが、こんなに哀しい物語だったのかと、改めて目頭熱くなっちゃいました。
妥協のないハードSFホラードラマ
今回で3回見たことになる。
この映画には、妥協がないとツクヅク再確認しながら、、又心から楽しんでしまった。
・ストーリーに妥協がない。
SFものは大概、いい加減論理の飛躍が有る映画が多く、ゲンナリさせられるが、
この映画の妥協のない緻密なストーリーは、何度でも見れる。アイデアも秀逸。
・映像に妥協がない。
グロさは圧倒的である。またそれをじっくりかつ執拗に見せる。
転送後のポッドBが煙ってなかなか見えないのも、唸らせる。
ヒヒの1匹目が、セスの目の前で血まみれの手(または足)をガラス扉に打ち付ける
シーンは、思わずこっちの体もビックと動いてしまう。
変身の過程は言うまでもないでしょう。
・心理描写に妥協がない。
恋人役を妊娠させることで、見ている方も逃れられなくなる。出産の悪夢では、産婦
人科医に同情してしまう。セスのいかにも研究者らしい性格も人格変身の過程も飽き
ない。勿論恋人の苦悩は言うまでもない。
・サウンドに妥協がない。
B級映画が、突然の大音響で驚かす手法とは一線を画す。重厚で落ち着いたサウンド
は、この映画の妥協の無い雰囲気を効果的にバックアップしている。
・キャスティングに妥協がない。
ほぼ3人しか登場人物はいないが、ハマルとはこう言うことを言うのであろう。
・演出に妥協がない。
壮絶な内容にも拘わらず、抑えた演出が光る。遺伝子融合による変身の第一歩は、
セスの驚異的な身体能力の増強であるが、単純に驚くわけでもなく、喜ぶわけでも
なく、寧ろ皮肉なユーモアさえ交えながら淡々と演出されており、実は私が最もこ
の映画を好きなポイントがここにある。コーヒーの大量な砂糖しかり、鏡の前で人間
だったパーツをコレクションするシーンしかり、変身後天井を歩いたりビデオの前で、
ブランドルバエとしての食べ方を寧ろ楽しそうに見せるシーンしかり、引きつった笑い
を誘いながら、同時に恐怖心と不安をいっそう高めるあたり、並の演出ではない。
これらは、クローネンバーグのセンスとしか言いようが無い。
にも拘わらず、この映画には救いがある。恋人の愛、セスの愛、恋人上司の愛、ユーモア、セスの天才性。
不気味にして笑わせ、重苦しい割りに軽く、グロでありながら切ない。
唯一、映画でしか描けない世界が、ザ・フライにはある。
アクション映画ではなくホラー映画
アクション映画と思ってたらホラー映画らしい。
研究を奪われるくらいなら!とか、切羽詰まった理由ではなく、たまたまハエが入っちゃったからハエ男になってしまっただなんて。かわいそう。
嫌な奴がひとりもいない(なんだかんだ元彼も良い奴だった)から、ストレスがなくて良かった。
マントヒヒが懐いてて可愛い。
女性記者との愛があったから最後は救われたのかな。
グロあり(食欲無くすレベル)、ハラハラありで見応えあっていい映画だった。見終わって切ない気持ち。
子どもの頃にうっすらと見た記憶があったのは、画面が暗くて緑色っぽい電気がついてて、ハエ男ももっとしっかり喋ったり見た目もハエっぽかったような…。そうそうコレ!とはならなかった。別のハエ男?
この作品からジェフ・ゴールドブラムが好きになった
何度観ても面白いと思う。『ハエ男の恐怖』も良かったのだが、メイクに雲泥の差があります。白黒版だと恐怖感のみしか感じられず、グロ、ホラー、アクション、恋愛と、様々な要素を盛り込んだ本作はかなりの秀作。
人間に戻れなくなったセス・ブランドルが可哀想で涙が出てきた。
グロい!キモい!悲しい!
化学実験によりハエ男へと変貌してしまった科学者の悲哀を描いたホラー映画。
監督/脚本は『スキャナーズ』『ヴィデオドローム』の、巨匠デヴィッド・クローネンバーグ。
また、産婦人科医役でクローネンバーグ監督本人が出演している。
主人公である天才科学者、セス・ブランドルを演じるのは『アニー・ホール』『ライトスタッフ』のジェフ・ゴールドブラム。
第59回 アカデミー賞において、メイクアップ賞を受賞!
ホラー映画界のレジェンド、クローネンバーグが手掛けたB級感漂うクリーチャー・ホラー。
てっきり「怪人ハエ男が街を恐怖のどん底に陥れる」という典型的なジャンル映画かと思っていました。
しかし、この作品が重きを置くのは、怪物へと変貌していく科学者の恐怖と狂気、そして彼を愛する雑誌記者の苦悩と絶望であり、ホラーというよりはヒューマンドラマ映画という趣がある作品のようにおもいます。
アカデミー賞を受賞したハエ男の特殊メイクは今の時代でも充分通用するキモさとリアリティを兼ね備えており、作品に対する恐怖感を一層強いものにしています。
しかし、変身過程の姿はどうみてもハエには見えないブヨブヨした醜男。まぁ怖キモいから良いんだけど…。
すぐれた特殊メイク&考えさせられるテーマを併せ持った、ただのB級ホラーではない作品だとは思いますが、まぁ面白くはないかな…。
序盤の執拗に描かれるラブシーンには辟易。あんなにいるか?そもそもどこでヒロインが恋心を抱いたのかもよくわからん。
とにかくハエ男に変身するまでがまどろっこしくて退屈です。
変身した後もクリーチャーのアクションがあるわけではなく、ハエ男とヒロインの苦悩が描かれるだけなので退屈。
せっかくスパイダーマンのようにハエのパワーを手に入れたんだから、もっとアクションを見せてくれればいいのに。
この映画で一番驚いたのは、ヒロインの元恋人で、ストーカーっぽい編集長。てっきり彼が主人公への嫉妬心からトラブルを引き起こすのかと思いきや、後半は普通にいい人。というかヒーローになります。
お前が倒すんかい!という驚きがすごかった。結局ヒロインとも元鞘っぽいし、色々と美味しいキャラ。
怪物の頭をショットガンでぶっ飛ばして即エンドロール。この流れは往年の香港カンフー・ムービーのような潔さがあり良かったです(笑)
怪物が大暴れするようなバカっぽい映画だと思っていたため、かなり重めの作品で面食らってしまいました。個人的には好みではありませんが、グロ系ホラーが好きな方には受ける…かも?😅
懐かしい
子供の頃、食い入るように観た記憶があります。
電話ボックスに、めちゃでかいレコーダーにテープと子供の頃は周りにありましたが今はスマフォでなんでもできますから、もう見かけませんね。
しかし、ポットのデザインは今見てもなかなか近未来的で見劣りしないかなと思いました。
今の時代に合わせてリメイクすれば若者の受けもいいかもしれませんね。
最近の映画だと「第9地区」が近いかな?
この映画の面白いところは、ポット完成までかと思いきや本題はその先にあるということ、グロいシーンもありますがブランドルがどう変貌していくのかというのも面白い。
今はVFXや特殊メイクの進歩で、目新しくないですが、当時は凄いなと思ったものです。
ラストの銃口を自分の頭に持ってくシーンが好きですね。
人はあんなに変貌しませんが、姿が変わっても大切な人への愛は貫き通せる人でありたいと思います。
全8件を表示