「ドニーの青春。」ドニー・ダーコ タケシさんの映画レビュー(感想・評価)
ドニーの青春。
心に問題を抱える少年ドニーが出会った、“フランク”と名乗る銀色のウサギ。彼はドニーに世界の終わりを告げる。
その後、ドニーの身の回りに起こる様々な変化。それは運命か、それとも彼の選択か...
不思議な世界が漂う、ドニーの青春。
本作を自分なりに解釈してみました。
“フランク”と名乗る銀色のウサギ。周囲が不幸になるドニーの行動は、全てウサギの命令によるものです。つまり、彼はドニーの暴力性が具現化された存在と言えます。
冒頭でドニーがいる場所は、ラストで彼が、扉が開く瞬間を見ていた場所です。つまり、彼は実はこれからおこる未来を知っていたのではないでしょうか。彼は、自分がウサギの着ぐるみを着たフランクを殺すことを知っていたため、彼自身の暴力とウサギの着ぐるみのフランクが繋がってしまったのです。
しかし、ドニー自身はタイムトラベルをしていません。タイムトラベルに必要な“乗り物”の要素を、彼はみたしていないのです。
胸から伸びる“もの”は、その人が求めるものへ向けられる意思だとするなら、彼はそれを通して扉の先にある未来を見たのではないでしょうか。
ドニーの主治医が言った、「空に扉が開くのなら、この世に法則は存在しない」というセリフ。彼女の言う通り、ドニーの世界には法則は存在しないのです。そのため彼には、未来を知り選択出来るという矛盾が発生してしまったのです。
未来でのドニーは、人の心は複雑で、“恐怖”と“喜び”の両極に分けることは出来ないと主張します。しかし実際は、未来の自分は孤独の死を恐れ、ウサギ(自身の暴力性)に怯えて“恐怖”しています。そして、他人と愛を分け合い、彼の世界である、彼を取り巻く環境(家族や恋人)を守れることに“喜び”を感じているのです。
人の単純さを知ったドニーは、自分の世界を守るために選択をします。
そして、彼は幸福な孤独の死を迎えるです。
これはあくまで私なりの解釈です。難しく考えなくても、一種の青春ものとして見れると思います。
映画の楽しみ方は様々ですので、個人個人で楽しんでください。