劇場公開日 2002年8月31日

ドニー・ダーコ : 映画評論・批評

2002年8月15日更新

2002年8月31日よりシネマスクエアとうきゅうほかにてロードショー

“終わりの延長”を生きる感覚がリアル

謎のウサギから世界の終わりを告げられた主人公ドニーは、生きているのか、死んでいるのか、夢を見ているのか、予め決められた運命をたどっているのか、自殺願望に駆られているのか定かでない、混沌とした世界に引き込まれていく。そんな展開をさらに印象深いものにしているのが、ドラマの時代設定だ。

世界の終わりがなぜレーガン政権末期の88年10月でなければならないのか? 75年生まれの監督ケリーはまだ13歳だったのだから、この年が当時から特別なものとして彼の記憶に深く刻み込まれていたとは考えにくい。その後の時代を体験するなかで、過去が大きな意味を持つようになったのだろう。

保守化した80年代は、この舞台のような郊外の若者たちにとって決してよい時代ではなかった。だから彼らは変化を求めたが、期待は裏切られた。そういう落胆はどんな世代にもあるものだが、80年代以後はそれ以前とは決定的に違う。自由市場が過去を葬り、郊外の有権者が国を動かす実権を握り、もう後戻りもできず、もうひとつの未来の可能性も閉ざされてしまう。そんな終わりの始まりがレーガン時代であり、この映画は終わりの延長を生きる感覚をリアルにとらえているのだ。

(大場正明)

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