ディボース・ショウ : 映画評論・批評
2004年4月1日更新
2004年4月10日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
遊びをマジメにやってくれているのが楽しい
「約束通りの展開」という言い方は、最近では否定的に使われることが多いけれど、「約束通りの展開」だからこそ楽しいのがこの「ディボース・ショウ」だ。離婚訴訟専門のすご腕弁護士ジョージ・クルーニーと、彼に邪魔されて離婚による財産分与を受けられなかったキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。天敵同士の2人が喧嘩しながら恋に落ちていくのは、ハリウッドのお約束の典型で、落ち着く先が見えているから、安心して途中停車して遊べる。その遊びをマジメにやってくれているのが楽しいのだ。
例えばジョージが気にする歯の白さ。磨かれたものがあると、スプーンでも、窓ガラスでも、歯を映してニッ。これは、ケーリー・グラントを意識したギャグだ。コーエン兄弟はブレーク・エドワーズのタッチが大好きで、無意識のうちに出てしまったと話している。確かに、後半、ナイトガウン姿のジョージと相棒が、暗闇で右往左往するシーンは「ピンク・パンサー」シリーズのまんまで大笑い。でも1番楽しい遊びは、キャサリンが考え出す結婚コン・ゲーム。敵の得意分野で勝負に出るなんてカッコいいの一言。これからは、ビッチも頭で勝負よね。もちろん彼女は、ピッカピカにきれいだけど。
(森山京子)