サン★ロレンツォの夜のレビュー・感想・評価
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幻想と虚無
特徴的な映像と音楽に辟易してしまうところがあって、正直、忍耐を要した。
同様の辛さを感じた「パードレ・パドローネ」を思い出して、途中断念も考えたが、不思議と幻想的な映像に次第にハマっていった。
後半の非情で虚無感に充ちた盛り上がりには相当魅せられた。
ドリーミーな戦争の記憶、口承
隣人同士が殺し合うというなんとも残酷な監督自身の実体験を、少女の記憶と子供への口承というバイアスをかけ、目をそむけるものではなく直視させることで、見るものの記憶にとどめておかせようとする。
タヴィアーニ兄弟の頭の良さ、策士ぶりが伺われる。
一見むちゃくちゃな戦争映画、人間ドラマにみえるが、監督の知性が溢れる作品である。
ユーモラスっちゃユーモラス
第二次世界大戦終戦間際のイタリアのお話。ドイツ軍から家々を爆破すると脅されて、さてどうするか? 近くに来ているというアメリカ軍に助けを求める村民。ムッソリーニ万歳を叫ぶファシスト。単に生活を守りたいだけの市井の人々。
敵と味方の区別がつきづらい。それも当然だ。なぜなら同じ村民同士なのだから(ドイツ軍は別として)。そういうごちゃまぜの状況を、それとして説明しきれていない。よく言えば前衛的。悪く言えばわかりづらい。しかしときどきユーモラス。ときどき胸が痛くなるような悲劇。一見の価値は充分にあります。ただし一見。
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