「音楽家はもっとも神に近い存在だ」敬愛なるベートーヴェン shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
音楽家はもっとも神に近い存在だ
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映画「敬愛なるベートーヴェン」(アニエスカ・ホランド監督)から。
偉大な天才作曲家、ベートーヴェンの一面を垣間見た気がする。
「野獣」と呼ばれていたにも関わらず、実は非常に繊細であったり、
要所要所に、音楽家としての考え方が表現されている。
中でも、音楽家の存在価値について語るシーンは、圧巻であった。
「音楽は空気の振動だが、神の息吹だ」「魂に語りかける神の言葉だ」
「音楽家はもっとも神に近い存在だ」
「神の声を聴く、意思を読み取る、神を称える子どもたちを生み出す、
それが音楽だ。でなければ、音楽家は必要ない」と。
自信に裏打ちされたこれらの言葉は、重みを感じた。
ベートーヴェンを始め、歴史に残る音楽家は、口を揃えたように
神の声を楽譜に書き写すだけだ、という。
そしてまた、その作曲家が書いた楽譜を清書する「写譜師」という
職業があることを知って、驚かされた。
物語の中で、ベートーヴェンが、若き女性写譜師に、
「無音がカギだ。音符と音符の間の沈黙だよ。
沈黙が深まると、魂が歌い出す」と呟くシーンがあるのだが、
私はこの時、交響曲第5番「運命」の出だしが頭の中に浮かんでいた。
同時に、映画「神様のパズル」(三池崇史監督)でメモした
「『運命』の最初に八分休符があるんだ」という台詞も一緒に・・。
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