「ラストが好き」コールド マウンテン Jolandaさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストが好き
数年ぶりに鑑賞。
今回、(途中、何度か台所に立ってしまったせい?)あまり二時間半という長さを感じなかった。助演賞とったレニー・ゼルウィガーが良いのはもちろんだけど、キッドマンだって最高だよ。冒頭の戦争前夜の頃はたぶん設定が18ぐらいじゃないかと思うんだけど、若くて初々しい感じがみなぎってるよね。ジュード・ロウと見つめ合うシーンとか、美男美女すぎて笑けてくる(笑)
脚本がいい。特に、戦争を揶揄するレニーの台詞。
初めて観た時は、ただただ演者の美貌と残酷さと(生臭坊主ならぬ)生臭牧師と悲しさに圧倒されてしまったんだけど、年を経て観ると、また感慨もひとしおですな。
家畜と病気の赤ん坊を取り上げられて、輪姦(まわ)されかけるナタリー・ポートマンが、たぶんちょっと善玉っぽい義勇軍兵士を射殺するシーンのやるせなさ(というか、そのシーンの意図)を、ようやく理解した。前までの私はよほどボーッと観ていたのか?たぶん、身ぐるみだけ剥いで逃がそうとしてたジュードの徒労感よ。
ジュードを匿って看病する、山奥で山羊と暮らしてる仙人みたいなお婆さん。憧れるわ、、ああいう生き方。
インマン(※ジュード・ロウ)って、ちょっと、『もののけ姫』のアシタカとかぶって見えるんだよね。 戦争や呪いを通して、人間的な心を少しずつ摩耗させ、喪っていく。あるいは、人間離れした鬼神のごとき力を得る。
アシタカは神(獣神?)のために貢献して結果的に生き永らえるけど、インマンはね、、 山を越えて戻ってきた時、彼はかつての人間としての彼ではなかったのかもしれない。 同じように人という土俵を下りてしまった義勇軍の――ケモノのような――連中と戦い、身を挺してエイダやルビーを守ったのが切ないよね。
ラスト、平和な家族の食卓からだんだんカメラが引きになって、たくさんの木の葉が大写しになるところ。 こうした人々や家族の犠牲の上に、今日のアメリカの子々孫々の繁栄があるということを示唆してるようで、、この終わり方がとても好きです。