サンセット大通りのレビュー・感想・評価
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“私が大きいの、小さくなったのは映画の方よ❗”“私達には「顔」があったわ(We had faces !)❗“映画こそ私の人生”“クローズアップを撮って頂戴❗” 名台詞だらけのこれぞ名作‼️
※2023.09.23. 2回目の鑑賞。バーブラ・ストライザンドの「As if we never said goodbye」を聴いていたら無性に『サンセット大通り』が観たくなった。
1回目も堪能したが、その時は分からなかったこの映画の凄さか分かって更に魅せられた。
『バビロン』ほど長々と撮らなくても、「ハリウッド黄金期(1920年代~1930年代)のハリウッド」「映画」「映画スター」というものがこの中に全部詰まっている。
Billy Willder
ミステリーフィルムノワール映画。
1950年と言う、フィルムノワールがさんになり始めた時代の作品で、ここから多くの脚本的要素を盗んだ作品は多くあります。映画の歴史的にもかなりの影響を残していますが、2010年代の我々が観てもミステリー映画としても楽しむことができるのがこの映画の魅力です。
設定は1920sから1950sにかけて。当時、映画の歴史上最も大きな出来事がありました。それはトーキー映画の出現。それまでの映画はサイレントで上映フィルムに音がプリントされることはありませんでした。トーキー映画とはいわゆる、劇中の役者さんがセリフを喋るということです。それにより、映画のポテンシャルはさらに増加したのですが、俳優さんたちに求められる演技の技術は、動きだけでなく、セリフを読むこと、つまりは話すことも求められるようになったのです。サイレント映画では美しい顔を持っているだけで、絶大な人気を誇っていたスターたちも先行きを危ぶまれることになりました。そんな映画業界での脚本家とサイレント映画のスターだった女優さんの欲をめぐったフィルムノワール。
このテーマをコンセプトとした映画はいくつかあります。『雨に唄えば』(Singin in the rain (1953)”や、『アーティスト』”The Artist (2010)”など。しかし、この映画業界ではタブーとも言える、スタジオ映画の大きな変化、失墜を取り上げた初のスタジオ映画です。パラマウント製作でパラマウントを批評するところが面白いです。かなりブラックなことを取り上げてますが、ビリー・ウィルダーの素晴らしい脚本が、コメディ要素を含み楽しく鑑賞することができます。
ミステリー作品としての脚本の出来がなんと言っても素晴らしい。とても極端で特徴的なキャラクターたちが、ミステリーを作り上げていきます。愛やお金、欲望、リベンジのを中心としたミステリーはフィルムノワールの代名詞ですが、映画業界の転換を背景としたユニークな設定と、コメディ・ドラマ・サスペンスを視覚的に表現するリッチな内容が映画としてのミステリーを完成させています。
一番感心したのは、プロダクションデザイン。グロリア・スワンソン演じるノーマ・デズモンドの屋敷がすごかった。過去の栄光にすがって、自分に酔っている悪役的キャラクターをその屋敷で表現しています。さらには、マックスやベティなどのサブキャラクターにも動機がはっきりとしていて、謎解きが面白い。
殺害された主人公の一人称で語られるミステリーのナレーションも映画としてのミステリーの新しい境地を開いたのでしょう。
70年前という、こんだけ古い作品であってもここまで楽しめるというのは、この作品がその後の映画に及ぼした影響がとてつもなく大きいということがうかがえます。
名作とされるが自分には...
自分には良さが分からなかった。
思った以上にメロドラマだなあという印象。おそらく男と上手くいかなくなると自殺を図るようなデズモンドが好きになれなかったからだろう。
妄想と現実の狭間で
遠慮なしの映画
昔の映画をさほど見ているわけではないので、グロリア・スワンソンに特別な思い入れがあるわけではないのですけど、ウィキペディアで見てみると、彼女、本当にこの作品が久しぶりの映画出演だったみたいですね。そう思ってみると、ほとんど本気ですべての台詞を言っていたようにも感じられて、正直、ゾッとしましたですね。
こういう配役をしてしまうところが、ビリー・ワイルダーの怖さなんでしょうかね。なんか見た目がワイルダーって可愛らしいので、優しい印象ですけど、こんだけ有名な監督で、そんなただ優しいだけの監督なんていないんでしょうね。
同じような題材で言えば、『何がジェーンに起こったか』がありましたけど、私的には『ジェーン』の方がおぞましさの点では上回ってた気がします。ラストもほぼ同じ感じですしね。
素晴らしかった。
過去の栄光
零落女優、鬼気迫る演技
かねてから気になっていたが今回初めて観た。古い映画だが今観てもいささかも価値を減じるものではない。まず圧倒されるのはグロリア・スワンソン演じる往年の栄光にとり付かれ現実を見失った伝説的大女優の、ひとときも、どんな場面もおろそかにしない入魂の演技だ。
ハリウッド映画界の内幕物といえるが、その栄枯盛衰にあって取り残されたとも知らず、否、そうである事を受け入れることが出来ない往年の大女優の悲劇である。
冒頭、背後から銃で撃たれプールに浮かぶ三文脚本家ウィリアム・ホールデンの回想という倒置的な設定をとり終末を提示する。そこからホールデンのナレーションで舞台は半年前に遡る。
自己の脚本が売れず車のローンに追われ貧窮の生活をおくるジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン)がふとしたきっかけで往年の大女優ノーマ・デスモンド(グロリア・スワンソン)の荒れ果てた庭の大邸宅に迷い込む。そこで一時は追い返されるがジョーが脚本に携わると言う事でノーマの脚本の添削を頼まれそれがきっかけでジョーはそこに宿泊することとなる。その大邸宅にはクールでコツコツと任務をこなし忠実にかしずく執事マックス(E・V・シュトロハイム)もいた。
ノーマはジョーに高価な装飾品や衣服を買い与えていくうちにジョーに抜き差しならぬ情愛が乗り移っていった。しかしジョーは次第にノーマの情念の虜でいることが疎ましくなってゆく。
ノーマは容色衰えたりとも大女優であるという確信揺るがず往年の栄光にしがみつき銀幕に復帰する事を信じて疑わない。
一方ジョーは顔見知りの若いベティ・シェファー(ナンシー・オルスン)と再会し、ジョーの脚本の書き直しを共にすることになる。そのため毎夜ノーマの屋敷を空ける日々が続く。やがて婚約者がいるのにベティはジョーに愛を告白する。
ノーマはそれを察知し嫉妬のあまり手首を切る。
それを知ったジョーは邸宅を訪ねてきたベティにすべての真実をぶちまける。そして荷造ろいをして邸宅を出て行こうとする。
半狂乱になったノーマはジョーの背後に向けて銃を三発発射する。
この事件に駆けつけた警察官や新聞記者らの質問尋問に狂気したノーマはキャメラやフラッシュを本物の撮影だと思い込みマックスを撮影監督に見立て静々と階段を降りながら自作に迫真の演技をする。まさに凄絶な幕切れである
Scizoid!!!!
『情婦 (1957)』『アパートの鍵貸します (1960)』と立て続けに Billy Wilder 監督作品を観ているアタクシ。いやはや恐るべくは その驚愕の質の高さと、全く予想の付かない展開の妙である。小気味良い語り口は緻密に計算し尽くされ、全ての台詞/場面に“責任”とも言うべき意味が切れ味良く含まれる。観客が現実と虚構を彷徨う羽目になる配役、印象的で それだけで今作を名作たらしめる構図の数々、そして この『サンセット~』は更に、無声映画時代の大女優 Gloria Swanson 秒殺の怪演が観る者に剥き出しの狂気を突き付ける!!!! ん~~ん、これぞ scizoid!!!! 書いてるだけで身震いしちまうぜ。
豊かな主題を名人芸で描き分ける Billy Wilder──。益々 虜になりそうよん◎
スクリーンで初鑑賞という幸せ!
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