ショコラのレビュー・感想・評価
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ファンタジーにこの人あり
ちょっとした大人向けのおとぎ話です。
こういったファンタジー系にめっぽう実力を発揮するのがJデップという人。憶測ですが、きっとこの人に配役するとその人物設定が未知であれば未知であるほどその映画で最も引き立つキャラを自ら創造して最大限に魅力的に演じてしまうんでしょう。この映画でも実はJデップが登場したのは後半のみで合計でも10数分位じゃないでしょうか。なのに全てもっていってしまった感があります。技ありの一本です。
ですが、この映画の本筋は見知らぬ土地で数々の困難にぶち当たりながらもそれらを乗り越えていく逞しい母娘の物語です。どうしょうもなくダメダメなDV男をやっつけたり頭ガチガチの村長を懲らしめたり、と下世話な言い方かも知れませんが頑張るシングルマザーの奮闘記であり女性への応援歌なんですよね。
なんです・・・が・・・誤解を恐れずに言わせてもらうと、ちょっと女性に媚びてる感がしてしまうのです。ワイルドでイケメンのJデップとのロマンスのおまけまであって最後はハッピーエンド。同監督の前作で同じくJデップとのコンビでヒットした「ギルバートグレイプ」が大袈裟な演出がないぶんすぅーと心地よく心に入ってきてとても感動しただけに、どうしてもこの作品には商業的な狙いがチラホラ垣間見られるような気がしてしまうのは屈折した私だけでしょうか?きっとそうだと思うのでこの辺にしておきます・・・
いかにもフランス🇫🇷のジュリエット・ビノシュがいい味出してます、シ...
久しぶりの鑑賞
チョコレートの魅力💗
「保守<リベラル」の結末が危うくなったが…
ラッセ・ハルストレム監督作品は、
これまで意識することもなく、結果的に、
「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」や
「ギルバート・グレイプ」
「サイダーハウス・ルール」を
観ていたのだが、
この作品を観て改めて、優れた演出力を
発揮する監督なのだと認識した。
また、私のような外国人の顔と名前の判別が
普段付きにくい人間でも、
苦にならないで観れたのも
その演出力の一端だったろうか。
さて、味覚が村人の心に影響を与えると
いった点からは
「バベットの晩餐会」を思い出させたが、
こちらは宗教色の違いよりも
“保守・伝統vsリベラル・変革”の
社会の在り方の観点からの、
その葛藤を描いた作品にも思えた。
主人公母娘の順調過ぎる程に
保守的因習社会に風穴を開けつつ、
人心を伝統から解き放つ経緯が描かれた。
そして、終盤近くにあった危うい雲行きも
影響を与えた村民に逆に救われ、
結果的に母娘が村に残ることの出来る社会
に変革出来てメデタシメデタシとなったが、
現実には伝統と改革のバランスは難しい。
私個人を考えてみても、
リベラル思想に理解を置きながらも、
年齢を重ねる毎に、昔を懐かしんだり、
変わらない古い社会システムを
再評価したくなるケースも
増えてきている気がする。
この作品、“甘味”が村民の心を宥和して
保守的因習社会に変革をもたらすという、
寓話的に単純化した構図なのだが、
監督の演出の上手さもあってか、
どっぷりとこのフランスの片田舎の物語に
最後まで浸ることが出来た。
価値観の違うものを受け入れることの大切さ
チョコがなす不思議な力
変わるのは若者だけじゃない。
真水みたような映画
魅惑的なチョコレートと気まぐれな北風がもたらす大人の寓話
映画の凄さの中に、キャスト、脚本、映像、音楽すべてがマッチしたときのパワーがあると思ってるのだけど、これはまさにそういう作品。ジュリエット・ビノシュも、ジョニー・デップも、ジュディ・デンチも本当に素晴らしいし、娘役のアヌークを演じる「ポネット」のヴィクトワール・ティヴィソルも完璧すぎる。音楽も、オリジナル曲に加えて、黒い瞳によってチョコレートのもたらす快楽が官能的に、グノシェンヌ1番によって風に心をかき乱される不穏さが表現され盛り上げてくれる。
DVDにはオーディオコメンタリーがついていてこれによって、原作の世界観を尊重しながらも大胆に改変が行わせたことが伝わってくる。随分前に原作も読んだのだけど、なるほど、対立軸が伯爵とヴィアンヌの関係とに変更が行われたことで、人間ドラマとしての受け止めやすさが原作より増しているように思う。
ハルストレムがあまりにコメディ的になることや感情的になることにとてもナーバスになっていたことが伝わってきた。だからこそ抑制の効いた、大人の寓話になっているのだと思う。
制作のデビット・ブラウンが、寓話こそ真実を語ると延べていたように、「気まぐれな北風」といった風がそこここでストーリーを動かすこの作品は、ややファンタジックなエッセンスを含みつつ人間性をしっかり描いた魅惑的な作品で、たまらなく好き。
【”不寛容な思想、伝統、人々の様々な柵をショコラの甘さが解きほぐす。”ラッセ・ハルストレム監督が描く、人間性肯定のファンタジー風味の映画。】
ー 1959年、フランスの伝統を重んじるある村に、ヴィアンヌ(ジュリエット・ピノシュ)と娘のアヌークがやって来る。彼女達は、街の空き家で、様々なショコラを作り、売り出す・・。-
◆ショコラに救われた人達<Caution !内容に触れています。>
・頑固なお婆さん、アルマンド(ジュディ・デンチ)。娘カロリーヌ(キャリー=アン・モス)と上手く行かず、可愛い孫と会えない・・。秘密にしているが、糖尿病を患っている。
- 冴えない顔で見せにやって来た彼女に、ヴィアンヌが振舞ったホット・チョコ。思わず、顔を綻ばすアルマンド。ショコラは人を幸福にするのである。
そして、ヴィアンヌが作る様々なショコラは多くの人を、救って行く・・。-
・夫、セルジュから暴力を振るわれているジョゼフィーヌ(レナ・オリン)。彼女もまた、ヴィアンヌのショコラに魅入られ、思わず万引きしてしまうが、笑顔で赦すヴィアンヌ。
- ジョゼフィーヌが、夫から逃げ、ヴィアンヌの家に逃げ込むシーン。愚かしきDV夫の頭に振り下ろしたフライパン。彼女が、夫から解放された瞬間である。村の古臭い伝統からも・・。-
・ある日、ロマたちが村に川の流れに乗ってやってくる。拒否感を示す村人達だが、ヴィアンヌは気にせず、ルー(ジョニー・デップ)と言葉を交わし、彼らと交流を始める。
- 古来から、ヨーロッパでロマ(かつては、ジプシーと呼ばれていた)は、流浪の民で、差別の対象であった。が、ヴィアンヌはそんなことは気にせず、ルーと情を交わす。彼女の一族も又、ショコラを広める流浪の民だったのであろう。-
・アルマンドの願いで、孫も招いてパーティをするシーン。盛り上がった村人たちは場所をルーの舟に場所を移して、歌い、踊る。
が、村長のレノ伯爵だけは、ヴィアンヌの事を快く思っておらず、数々の嫌がらせをしてきたが、到頭、セルジュをそそのかして・・。
難を逃れた、カロリーヌを始めとした村人たち。けれど、アルマンドは病が進行し帰らぬ人に。
- だが、娘カロリーヌは、既に母の生き方を認めていたと思われる、葬儀の時の表情が印象的である。-
・自棄になったレノ伯爵は、ヴィアンヌの店に忍び込んで、狼藉を働くが、唇に付いたショコラを舐めて・・。
- 翌朝、眠りこけたレノ伯爵にヴィアンヌが差し出した飲み物。憑き物が落ちたような、レノ伯爵の表情。-
・が、時期が来たと村を出ようとしたヴィアンヌが店の地下で目にしたもの。それは、ショコラにより、救われた村人たちが、ショコラを作る姿だった・・。
<古臭い因習が支配していた村を解き放した、ショコラの魅力に魅入られた人々が、新たな生き方を見出して行く姿が素敵な作品。
久しぶりに鑑賞したが、矢張り佳き映画である。>
心があったかくなるラストがとっても良かったです
若かりし頃のジョニー・デップが本当にイケメン。 後半に入ってようや...
見ると幸せになる映画!
押し付けがましくない純粋な喜び&チョコレート映画
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