「材料がいいだけに惜しい」ボーン・アイデンティティー ばひんぽさんの映画レビュー(感想・評価)
材料がいいだけに惜しい
2002年の作品ということでマット・デイモンが若い&細い。「インターステラー」や「オデッセイ」での近年は、出演しているマット・デイモンに似たおっさんが実はマット・デイモンだった!というサプライズ(でもない)を受けているためかえって意外。
それはさておき、スタイリッシュでリアルなアクションが行われ、後続の映画にも影響を与えたと思われる。マット・デイモンの緊張と戸惑いと冷静さの絶妙な表情で繰り出される素早い格闘はリアリティが出ている。欧州各地を回る舞台の広さが雰囲気を作り上げているのもよい。
冒頭で見事なまでのワクワクを与えてくれたこの映画を見ていてなんとなく乗れない理由が2つある。ボーンの素性の謎と、彼を追うCIAの能力だ。ボーンが殺し屋であることは途中の新聞でわかっており、最後に改めてタネあかしされても驚きがない。ターゲットに家族がいて殺せなかったのも、凄腕エージェントにしては普通の理由である。本作は自分を探しつつ、組織に追われるという形式だが、度々描かれるCIA側でのやりとりは所在地で指名手配出す程度。強烈な刺客との戦闘はそれぞれプロフェッショナル感が出ててよいが、ラストの戦闘もおっさんをクッションにした大胆なアクションがあるもののほぼ敵側の打ち切りによる終焉である。
自分の正体を知った衝撃、命を狙う連中を仕留めた達成感、これらがないためにヒロインの元を離れ再開する感動も弱い印象を受ける。
ヒロイン絡みで言うと、ほぼ巻き添えを食らっただけのように見えてしまうので、今までの生活からの脱却の希望をボーンに見出したり、彼の過去を一人知ってしまうも庇うようなシーンを挟んでボーンの特別な存在になってほしい。
ボーンさんも、逃げろといったり一夜交えたりやっぱ離れろといっては二人で逃げようと言ったり、コロコロかわりすぎである。
彼女が営む店に飾ってある花瓶がわりの赤いバッグが、ボーンが銀行からずっと持ってて彼女に手渡したやつか?と思い、ああボーンと二度と会えないかもしれないなかで思い出の品なのね、とか思ったけど色が同じだけの別物っぽいのね。なんでもいいけどヒロインがブサ…