奥さまは魔女 : 映画評論・批評
2005年8月23日更新
2005年8月27日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
魔女役の奥さまが、本当に魔女だったら…
60年代に日本でも大ヒットしたTVドラマの映画版だが、ユニークなヒネリが施されている。落ち目の映画スターのジャックが、「奥様は魔女」のリメイク・ドラマで夫ダーリンを演じ、復活を狙う。しかし、ジャックが妻のサマンサ役にスカウトしたイザベルは、本物の魔女だったという設定なのだ。そのため、正体を隠して恋と女優業に夢中になるイザベルの奮闘と、妙にリアルな劇中ドラマが楽しめるばかりか、後半は双方が入り交じった展開となり、不思議な感覚に包まれる。
しかし、この巧みな構成を成功に導いたのは、イザベルに扮したニコール・キッドマンの愛らしさにほかならない。普通の恋がしたくて人間界に舞い降りたイザベルは、世間知らずのうえに純粋で、少々思い込みが激しい。そんな危ういイザベルを、ニコールが生き生きと体現し、自然に魔法の世界に誘われる。
また、イザベルのことが心配でたまらないプレイボーイの父親を、マイケル・ケインが好演。魔法であらゆるところに顔を出し、イザベルとの洒落た会話で笑わせてくれる。
ただ、残念なのは、ジャック役のウィル・フェレルが魅力に欠け、イザベルが恋した相手とは思えないところ。アメリカ人と日本人の好みの違いなのだろうか?
(山口直樹)