バンディッツ : 映画評論・批評
2001年12月17日更新
2001年12月29日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
個性派競演、構成の妙、ラストはまさに映画の醍醐味
これほど意外性に満ちた映画とは……。まず、ブルース・ウィリスとビリー・ボブ・ソーントンが体現した“2人で1人”の迷コンビぶりがいい。ウィリスが行動派で直感に長けたジョーを、ビリー・ボブが頭脳派だが神経症のテリーを快演。ウィットに富んだセリフの応酬と、1人ではついバカをしてしまう姿が微笑ましい。2人の髪形変装七変化も爆笑だ。
そして、このコンビに乱入する人妻ケイト。2人に出会って生きる喜びを知り、さらに、2人を同時に愛してしまっても、無垢な心を失わない。そんなケイトを、ケイト・ブランシェットが自然体で熱演。全身で思いを現す彼女のキュートな魅力が、それぞれ欲望に溺れることなく自分を見出していく前向きな心のドラマに、説得力を持たせている。
が、なにより巧みなのは、冒頭、ロスの銀行を襲って警官隊に囲まれたジョーとテリーの姿を映し、過去へさかのぼって事の顛末が語られる構成。3人の個性的な逃亡者が繰り広げる牧歌的な犯罪と奇妙な三角関係は、ユーモラスだが、悲劇が匂うこともあって切なく映り、いつしか胸が熱くなる。そのうえで、意表をついた大どんでん返しで締める技は絶品で、まさに映画の醍醐味を味わえるのだ。
(山口直樹)