アサルト13 要塞警察 : 映画評論・批評
2006年2月21日更新
2006年2月18日よりみゆき座ほか全国東宝系にてロードショー
守りが好きな“砦”体質のアクション映画ファンにオススメ!
ジョン・カーペンター監督の初期作品「要塞警察」のリメイクである。オリジナル版を見ているにもかかわらず、この映画に新鮮な興奮を覚えてしまうのは、昨今のハリウッド製アクションではあまり見られなくなった“守り”の活劇だからだ。主人公が二丁拳銃などをふりかざしてバッタバッタと悪党を撃ち倒す“攻め”のアクションではなく、ひたすら敵の猛攻に耐え、起死回生のチャンスをうかがう極限状況下のサバイバル劇。「こうなったら戦うしかない。守りを固めて夜明けまでもちこたえるんだ!」。開巻から約30分後、イーサン・ホーク扮する警官が仲間を叱咤するこのセリフに、本作の魅力が凝縮されている。
カーペンター版からの変更点は主にふたつ。舞台はロサンゼルスから猛吹雪にさらされた1月1日未明のデトロイト市警13分署となり、敵役のストリートギャングは完全武装の悪徳警官一味となった。主人公と収監中の凶悪犯が手を組み、孤立無援&多勢に無勢の苦境をしのぐというストーリーは同じである。
数少ない人員を要所に配置して敵の侵入を阻止し、隙あらば車での脱出を試みる。そんな警察署を“砦”に見立てた攻防がダレ場なく展開し、終盤にはちょっとしたどんでん返しも用意されている。曲者揃いのキャストの中ではマリア・ベロ、ドレア・ド・マッテオの“紅二点”の存在感がきらり。主人公サイドの武器、弾薬が意外に豊富で、「あと×発しか弾がねえぜ!」という切迫感が足りないことが難点ではあるが、まあ贅沢は言うまい。攻めより守りを好むマゾヒスティックな“砦”体質のアクション映画ファンにお薦めする。
(高橋諭治)