「本作と「実録連合赤軍、あさま山荘への道程」を是非ともセットでご覧下さい」突入せよ!「あさま山荘」事件 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
本作と「実録連合赤軍、あさま山荘への道程」を是非ともセットでご覧下さい
今年2022年は、本作で描かれるあさま山荘事件からちょうど50年の節目に当たります
本作は2002年の公開
つまり事件から30年目の節目として撮られた作品というわけです
テロリストと警察との対決
その視点で描かれています
犯人達連合赤軍の考え、彼等の立場や状況などのことは本作ではどうでもよく、単に武装テロリストとの攻防戦のみを描いていますから、連合赤軍のことは切り放なされて、普遍性のある映画として成立しています
テロリストの連合赤軍の側の視点
彼等が何故あのような事件を起こしたのか?
何者だったのか?
それは若松孝二監督の2008年の映画「実録連合赤軍、あさま山荘への道程」をご覧いただければ良いでしょう
本作とその作品をセットでご覧になられることを強くお薦めします
まず本作より先にそちらご覧頂き、続けて本作を鑑賞される順番がよろしいかと思います
その方が当時の状況や背景をより深く理解できるので、より本作を楽しめると思います
そして「実録連合赤軍、あさま山荘への道程」での暗澹たる思いを、本作が与えてくれるカタルシスで断ち切ることができるとおもいます
監督は原田眞人
「ガンヘッド」のようなガッカリ映画ではありません
十分に楽しめ、見応えもある映画です
役者達も一流俳優で、演出も撮影も水準以上です
大満足です
原作は本作の主人公、佐々淳行警視正(事件当時)の著書「連合赤軍「あさま山荘」事件」
この人はその後、初代内閣安全保障室長にもなられた、本当に超がつく優秀な方です
そして人間的魅力のあった人でした
その彼を役所広司を演じます
その特に優秀な人材を、上手く使いこなす後藤田警察庁長官を藤田まことが演じます
あのカミソリ後藤田という渾名がなぜついたかがよくわかります
あのような切れる人に使われて、役職以上の権限を与えられて存分に働ける幸せ
有能な同僚と互いの能力を認めあい、困難に立ち向かう充実感
この特に難しい仕事を仕切れるのは、どれだけ他に沢山人間がいても自分しかいないという自負心と高揚感
そして一抹の不安
それらが見事に表現されています
大きな組織で、もみくちゃにされている人には、あるあるシーンの連続だとおもいます
佐々淳行氏は既に故人
2018年秋に87歳で永眠されています
あさま山荘事件の当時は42歳でした
ヘラクレスの選択
敢えて困難に立ち向かっていくこと
同じ様に困難に飛び込む
いや、上からの指名で否応なしに投げ込まれる世代にとっては、共感と教訓と参考になることばかりです
佐々淳行氏のベストセラーになった著書「危機管理のノウハウ I~III」は新入社員の頃からの愛読書です
これから大きい組織の上級幹部を目指す方、そのスタッフに就く方には、必読書と言えます
必ず役に立ちます
お薦め致します