亡国のイージスのレビュー・感想・評価
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宮津(寺尾聰)が某国工作員(北朝鮮?:中井貴一)のことを簡単に信じるのがおかしい。
いそかぜと言う自衛艦(イージス艦)が演習に出るが、演習のはずが実戦に。
中井貴一ふんする北(北朝鮮?)の工作員が「グソウ」と言うヤバイ兵器を持ち込み、東京を狙う。
いそかぜの艦長は寺尾聡だが、彼の息子は「ダイス」と言う日本の秘密機関に殺された。と言うより、事故だと思うが。
そのことを寺尾聰は根に持ち、中井貴一の仲間に引き込まれる。このへんのくだりは、あまりにも簡単で単純すぎると思った。
日本国政府はいそかぜをテルミットプラスと言う焼夷弾で破壊する決定をする。攻撃機は飛び立ち、いそかぜの命運は尽きたかに思えた。しかし、「グソウ」を確保したといそかぜの乗員から連絡が入り、攻撃は中止に。
そして、制御不能になったいそかぜ。このままでは、東京湾岸にある化学コンビナートに突っ込み、爆発を起こし東京都民がおおぜい、死ぬことに。
だが、艦長の寺尾聰がいそかぜのエンジンをピストルで破壊し、いそかぜは沈没する。寺尾聰が銃を撃つとき、いそかぜに「許せ」とつぶやく。そして、寺尾聰はいそかぜと沈んで行き、艦と運命をともにするのであった。
宮津二佐の息子
動機が弱い
まあ、クーデター物としてはそこそこだろうか
前半はテンポいい展開なのに、後半はたっぷり時間をかけた寸劇で
緊張感の糸が切れてしまい、間延びした感じだった。
それ程ゆっくり経過してたにもかかわらず、終盤では秒読み段階で
攻撃命令をキャンセルできるし、船も沈没という形で止めることが
できるし、都合のよさに呆れるほどだった。
さて、物語の背景の動機について言えば、とても違和感がある。
現状を憂い、変えたいと考える自衛官がいたとしても、180度方向が
異なるテロで実現しようと考えるとは、想像がつかない。
間違ったことが許せないから、全て破壊してやる。
というのでは、思春期にありがちな幼稚さを感じてしまう。
たとえ脅しと考えていても、要求が通らずに詰んだ場合の選択肢に
大量殺戮を実行する可能性がリスクとしてあると考えると、とても
計画を実行できないと、おとなは 考えるのではないか。
また、息子の死によって副長が血迷った結果騙されたとしても、
それに付いてゆくマヌケな部下がいるとは思えない。
まだ、金目当ての犯罪集団による企てだとした方が納得できた。
平和ボケした日本人へ
外から狙われた祖国を憂う気持ち
ベストセラー原作で、豪華俳優で、自衛隊の協力も得られたのに、何故か残念な結果
阪本順治 監督による2005年製作(127分)の日本映画。配給:日本ヘラルド映画、松竹。
原作は未読。
防衛庁下部組織の工作員演じた勝地涼は、その強い眼差しからかなり印象に残った。絵描きとして凄い才能を有するという設定も良かった。韓国女優チェ・ミンソもアクションシーンをたんたんとこなしていて感心させられた。最後、死んだ様にも思えたが、おそらく勝地から真田広之に送られてきた絵が、とても美しかった。
佐藤浩一も中井貴一も基本良い俳優とは思うのだが、この映画ではなくイマイチであった。さらに主役級で有るはずの寺尾聰が良くなく、魅力に乏しく、部下が無理をして付いて行っているストーリーに破綻が生じてしまっていた。まあ俳優というより、演出と脚本の問題か。
一方、真田広之はとても良く魅力的でもあり、さすがとは思わされた。ただ、映画全体としては、自衛隊の協力も得られたらしいが、それもあまり生かされておらず、サスペンスのはずがそうでもなく、とても残念な映画に思えてしまった。
監督阪本順治、原作福井晴敏、脚本長谷川康夫 、飯田健三郎、撮影笠松則通、照明石田健司、美術原田満生、録音橋本文雄、編集ウィリアム・アンダーソン、音楽トレバー・ジョーンズ。
出演
真田広之《いそかぜ》先任伍長・仙石恒史、寺尾聰《いそかぜ》副長・宮津弘隆2等海佐、佐藤浩市DAIS内事本部長・渥美大輔、中井貴一FTG・溝口哲也3等海佐/ヨンファ、吉田栄作《いそかぜ》船務長・竹中 勇3等海佐、谷原章介《いそかぜ》水雷士・風間雄大3等海尉、
豊原功補《いそかぜ》砲雷長・杉浦丈司3等海佐、光石研《いそかぜ》掌帆長・若狭祥司、森岡龍《いそかぜ》2等海士・菊政克美、中沢青六《いそかぜ》機関長・酒井宏之3等海佐、中村育二《いそかぜ》航海長・横田利一1等海尉、橋爪淳《いそかぜ》艦長・衣笠秀明1等海佐、安藤政信FTG・山崎謙二2等海尉/ドンチョル、眞木蔵人第204飛行隊・宗像良昭1等空尉、松岡俊介DAIS局員・小林政彦、池内万作DAIS局員・服部 駿、矢島健一《うらかぜ》艦長・阿久津徹男2等海佐、佐々木勝彦防衛庁長官・佐伯秀一、天田俊明統合幕僚会議議長・木島祐孝、鹿内孝海上幕僚長・湊本仁志、平泉成警察庁長官・明石智司、岸部一徳内閣情報官・瀬戸和馬、原田美枝子宮津芳恵、原田芳雄内閣総理大臣・梶本幸一郎、勝地涼《いそかぜ》1等海士・如月 、チェ・ミンソジョンヒ。
誇るべき価値観や未来に託すべき何物もなくただ浮かんでいるだけでも…。
<映画のことば>
「戦争はいつも対岸の火事に過ぎない。戦後60年、日本は太平洋と東シナ海との間に、ただ浮かんでいただけた。平和なら、それで国と呼べるのか。」
「平和って、戦争の隙間に生まれるものだと、俺は思ってるんだ。この国は、60年間も、その隙間にいるんだ。俺は、それでいいと思うよ。」
例えば、警察や消防が忙しいというのは、どうせロクなことではないわけです。
やはり必要があって維持するには、人件費などを含めて、評論子らの国民の全体で、それなりの社会的なコストを負担しなければならないのでは、あるのですけれども。
そういう言い方をすれば、自衛隊だって、そんなものでしょう、現実のところでは。
実際、自衛隊の中東への派遣が問題となった当時、「現実に戦地に赴くことを念頭に自衛隊に入った隊員が、果たして何人いたのだろうか」と物議を醸したものです。
「平和呆けしている」とまで言われた日本でしたが、それで良かったし、これからも、そうであってもいいんじゃないかと思うことが、時々あります。
そして、例えそういう平和は、たまたま隙間にいるがための僥倖であったとしても、その僥倖を守り続けてもし行けるなら、それに越したことはないのではないかとも思います。民族として誇るべき何物も持ち合わせず、それが「国家としての有り様(よう)を失った」ものであっても、「語るべき未来が見えない」ものであったとしても。それは、いかにも小市民的な考え方かも知れませんが、そのものズバリ、文字どおりの小市民である評論子としては。
否、意外と「平和であることの本当の価値(ありがた味)」というものは、一見すると平凡でで、当たり前なそんなことに胚胎しているとも言えるかも知れません。
おそらくはミリタリー系の娯楽作という位置づけの作品なのだろうと思います。本作は。作中には、船舶用語や自衛隊用語が、ちらほらと埋め込まれていたりして。しかし、自らが引き起こしてしまった戦争が終わってからこの方、これまで何とか平和を保ち、あまつさえ経済成長も(それなりには?)全うして来られたことの幸せを思うとともに凡庸でも、永く今の平和が続いてほしいという願いにも、思いが至った一本になりました。評論子には。
間一髪で最悪の事態を回避して、国土や民族の安全が確保されて「ハッピーエンド」というのは、この手の作品としては、いかにもの「お約束」ではありますが、一面では、平和について、平和であることの洞察も含まれていたということでは、なかなかの良作であったと思います。
(『ザ・ロック』×『ダイ・ハード』)÷邦画十八番泥臭いドラマ…
2005年に公開された福井晴敏原作の軍事アクション3本の中では、おそらく最も真打ち力作。
それは、キャスト/スタッフを見ても分かる。
メインキャストに、真田広之、寺尾聰、佐藤浩市、中井貴一、4人の名優が贅沢に並ぶ。脇も豪華面子が固める。
監督は阪本順治。音楽にトレヴァー・ジョーンズ、編集にウィリアム・アンダーソンがハリウッドから参加。
終戦60年の節目の年。内容も平和ボケした日本に反旗を翻す!
海上自衛隊の最新鋭イージス艦“いそかぜ”。
某国のスパイが乗り込み、それが若年海士の如月と知り、直属上官の先任伍長・仙石はショックを受ける。
が、実際は副長の宮津と某国工作員ヨンファによる乗っ取り。猛毒化学兵器“GUSOH”はすでに彼らの手中にあり、東京に照準が定められている。
彼らの目的は、海外で起きたGUSOHによる事故の公表、それを訴えた大学生の死の真相の公表、隠蔽した防衛庁情報局“DAIS”の公表。
全てはこの国への意義を問うた大学生が遺した論文“亡国のイージス”が始まり…。
DAISのエージェントであった如月はこの反乱を阻止する為、派遣されていた。
仙石も共に、いそかぜ奪還に挑む…!
国を守る者によるある理由を持っての国への復讐はさながら『ザ・ロック』。
主人公の孤軍奮闘は『ダイ・ハード』。
防衛庁、海自、空自協力。実際のイージス艦で撮影を敢行。リアリティー充分。
CGを駆使したイージス艦同士の海上戦。
艦内のスリリングな戦い。
邦画としてはスケールあるアクション大作!
…が、傑作には成り損ねた。
原作未読の者でも完全に映像化し切れてないのが分かる。途中途中、何を描きたかったのかだったり、展開が急だったり、ダイジェスト的だったり。
アクションと共に、国防の意義を問う。本当はそのどちらも巧みに描きたかったのだろう。ところが、国防臭が説教臭くなったかと思えば、ハリウッド風アクションを意識してるようでもあり、巧みに合わさっている感じはせず、どっち付かず。
その結果、ハリウッド風アクション×邦画十八番の泥臭いドラマで、一応頑張ったものの、よくあるチープな邦画アクションになってしまっている。
やはりエンタメに徹した洋画アクション『ザ・ロック』とはレベル違い。
阪本監督も同じポリティカル作品なら『KT』の方がずっと緊迫感あった。
キャストは熱演しているが、その中でも真田広之がある意味本当に“孤軍奮闘”に見える。本作を最後に16年日本映画に出ていない。国際スターになったのは誇らしいが、また日本映画への出演を。
特撮絵コンテ:庵野秀明
松竹創立110周年記念作品。
GYAO!で2回目の鑑賞。
原作は未読。
めちゃくちゃイマイチでした。アクション映画と言うにはしょぼ過ぎるし、ポリティカル・サスペンスとしてはかなりいい線いっていたけれども、双方のバランスが上手く取れていたらもう少し面白くなっていたかもしれないと思いました。
スペクタクル・アクション・エンターテインメントに仕上がっている原作から大分端折られているようで、そのせいなのか唐突な展開が散見されました。想像で補わなければいけない類の作品とも思えず、単なる描写不足だな、と…
文庫本で上下巻1000ページ越えの原作を2時間の映画にしようとしたらこうなるよなと納得させられてしまうのが、日本映画の限界を示しているようで情けなくなりました。
自衛隊の撮影協力を取りつけるために改変された部分もあるとのこと。本物のイージス艦が登場し、スクリーンに映える迫力を醸し出せているのに、その労力を無駄にするストーリーになっているのは脚本の罪が大きいかもしれません。
エンドクレジットを観てびっくりしました。まさかの、特撮絵コンテ・庵野秀明。特撮監督はゴジラシリーズなどでお馴染みの神谷誠。確かに、クライマックスの「いそかぜ」爆破シーンは迫力ありました。この顔触れを見れば納得。このシーンがもし無かったらもっと評価低めになっているところです(笑)。
※修正(2024/04/24)
彼らの目的は
あ〜ぁ…
※原作未読
観終えてみれば「国家としてのありようを見失った日本(=亡国)に、守るに値する価値があるのか?」を問いかける作品ということは理解した。そして舞台は護衛艦で起こるテロ事件、と大規模な作品になること間違い無しなハズなのに、、、
まず、ストーリー展開が表面的で引き込まれるポイントが無い。故に、誰にも感情移入できないし誰かを応援したい気持ちにもならなかった。
アクションや美術面の視覚的要素がショボくて緊迫感が伝わらない。
ついでに言うなら、如月役はせめてちゃんと演技出来る人を配役すべきだった。醒めちゃうよ。
原作から大幅にカットしたり展開を変えいてるらしいので、脚本の問題が大きいのかな?期待外れだったな。
やや尺が足りなかったか
原作で描かれていた宮津と阿久津のやりとりや復讐に燃える空自パイロットのくだりも欲しかった。
ヨンファたちのバックグラウンドもやや説明不足であったと感じる。
不満ばかり述べたが音楽、ストーリーともに素晴らしく2時間中弛みすることなく楽しめた。
大事な部分がカット・・・
普段、映画鑑賞する前には原作などは読まない主義だったのに、魔が差したのでしょうか、つい文庫本(以下、ページ数は講談社の文庫を参照)を買って読んでしまいました。よって、今回は原作との比較を含めるという初めての感想になります。
元々福井晴敏の原作小説も、自衛隊賛美で国防力の優れた点を延々と記述。アメリカの力を借りないで独自の軍隊を持つことを主張している内容ではあるが、テロの危険性や自衛隊が内包する諸問題も提起していたように思う。映画化を前提としたかのようなアクションシーンの記述は、小説なのに目の前で展開するかのような錯覚に陥るし、人物描写や様々な主義主張を広角度で捉えていた。何しろ小説は上下巻合わせると1100ページもあるのです。1ページ1分かかるとしても約20時間の大作だ。これを2時間強の映画に収めるとなると・・・
さて、映画はというと、上巻P201から始まります。いきなり乱闘騒ぎの後のシーンとなり、如月行が警官にしぼられてるところからだ。この時点ですでに端折ってるエピソードがいくつもあり、原作を知らない人は急な展開に戸惑うばかりであろう。つまり、掴みの時点で失敗しているのである。そして如月行による機械室の爆弾セット。仙石と如月の人間関係を描写するかしないかの内に突然の説得申し出。要は自衛隊内のテロ・クーデターだろうと予想できる映画なので、如月の正体を謎のまま進めたかったのでしょうけど、多分この前半30分で置いてけぼりにされてしまった観客が多かったに違いない。
更なる失敗は女性工作員ジョンヒの扱い。上映終了後、「あの謎の女、最後までしゃべらないで死んでいったけど、何者?」という声があちこちから聞こえてきたくらいです。映画だけ見ると、何者なのかさっぱりわかりません。原作ではヨンファの妹。北朝鮮で収容所に入れられ、慰みものにされていたところをヨンファが救い、立派な工作員として育て上げた。しかも首の傷でわかるように声帯を失い、口がきけないのだ。彼女は旅客機を爆破し、旅客機が海に墜落するが奇跡的に一人生き残って、いそかぜに入りこんだFTGに助けられた。彼女こそがグソーを持ってヨンファに手渡した功労者だったわけです。そして、如月との水中キスシーンも意味不明だと感じる方が多いようですが、、彼女が自分と如月の境遇や性格に共通点を見出し、テロの仲間に誘おうとしていたわけです。かつての北朝鮮工作員キム・ヨンヒがモデルなのかもしれないですね。
こうやって前半の端折られた部分とジョンヒの無意味さに加え、意図的な脚本の変更も目立ちました。原作を読んだ人ならわかるのですが、日米安保批判やアメリカ批判が含まれているのに何故アメリカ人まで絶賛しているのか?また、自衛隊批判も含まれているのに、何故全面協力を取り付けたのか?これは、内閣総理大臣梶本がアメリカべったりの政策や沖縄基地問題、そして存在意義を問われるダイスの加護等々がばっさり切られていること。そして、実は、グソーは偽物であり、全てはアメリカが仕組んだテロだったこと。この内容を大幅変更したおかげで、アメリカ人には評判がよくなったのでしょう。そして、確信はもてないのですが、宮津艦長が副長になっていること。イージス艦のトップがテロを起こすなんてことは避けたかったのかもしれません(これでOKが出たのかな・・・)。さらに、原作では北朝鮮とはっきり書いてあるのに、映画では一切出てきませんでした。これはどうなんでしょう。小さな論議が起こりそうなところですね・・・
そんなこんなで、この映画。楽しめたかというと、全く・・・でした。予想通り、自衛隊全面協力の割には、迫力あるシーンはいそかぜが白波を立てて邁進する姿とF2戦闘機が飛ぶシーンだけだし、アクションもこじんまりとしていた。旅客機墜落、イーグル戦闘機撃墜、ジェットライダー殲滅等々のハリウッド映画にありがちな大掛かりなアクションもない。「平和であれば国と言えるのか?!」などといった台詞も耳に残るし、専守防衛という方針を批判するかのような言葉も強調されすぎだ。産○新聞社も後援してるので、脚本手直しに口を出したのではないかとも想像できる。そんなことより、形は違えど国を愛する心、命の尊さを訴える映画であってほしかった。そして、ラストシーン・・・『戦国自衛隊1549』と同じかよ・・・
良かったのは真田広之と佐藤浩市くらい。特に、原作の仙石は中年太りのおっさん。真田はちょっとふくよかに体重を増やしたのではないでしょうか。忘れてならないのが、岸部一徳の脱力系ギャグかもしれない・・・・
福井晴敏だからみたけど
自衛隊とは・・
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