「ゴーサより破壊神らしいゴーストバスターズ」ゴーストバスターズ(1984) movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
ゴーサより破壊神らしいゴーストバスターズ
B級コメディとしてなら、ツッコミどころだらけでも最後まで普通に見られるストーリー性なので成立していると思うが、現代まで曲も作品も語り継がれる程の扱いなのは、奇跡だと感じる。
超常現象として悪霊を科学的に素材分析し、炉で処理するまでに、中性子や小型原子炉の仕組みが出てくるが、科学的風に見せるためだけであり、原爆と原発事故に見舞われた日本人としては、核充電を背中で行うとか頭おかしいの?となる。
被爆という言葉をご存知ですか?
ゴーストを捕獲するまでに使う光線も、交差させるとイオンが逆になるなど謎だし、そもそも使うとバーナーのように当たったところに火がつくとかテロレベルに酷い安全性の作り。
お手並み拝見、初仕事のホテル12階でだけで、既に、ゴーストバスターズと言うよりも破壊神の表現が似合う。ゴーサってゴーストバスターズの事じゃなくて?
無許可で始めて、炉を止めたら街中大惨事になる装置も勝手に増やす計画までしていたのだから、環境省役人が怒るのはもっともなのだが、この役人も神経を逆撫でされたからなかなかウザいキャラになっている。後半曲中の「役所はいい加減、後手後手に周る」歌詞にも賛同できる。
学生に手を出そうとする女好きな心理学博士も色々とアウトだし、よくわからない神話の、ゴーサとズールの宗教絡みで人類滅亡しかかっているからゴーサを退治しないといけないという成り行きも、ゴーサ復活のために死者が沢山甦って超常現象が相次ぎ2週間前からゴーストバスターズへの依頼が増えていたという説明になっているのか?ゴーサのために、門の神と鍵の神が人間に憑依し2匹セットになるとゴーサを蘇らせられる展開?
とにかく、それらしく説明がつくように理由付けしたテキトー脚本。
ゴーサが、相手が最も恐れるもののゴーストになり滅亡させるということで、機転をきかしたレイにより巨大マシュマロマンのゴーストがNYを闊歩するが、マシュマロが溶けて降ってきたら、熱くて大火傷の大惨事なはずである。
武力や爆発のもつ破壊力への認識がとてもとても甘く、そんな被害じゃ済まないだろ地上戦経験してみろと言いたくなるいつものアメリカ映画の浅はかさと、脚本の全体的な浅はかさをツッコミながら楽しむのが醍醐味なのだろう。
心理学大学講師として良い暮らしができていたが、一瞬でクビになるおじさん、
親の遺産を売って、それを担保に巨額借金をして、全額をゴーストバスターズに費やす科学専門のおじさん
オーケストラの一員としてNYで高そうな物件の22階に住む暮らしができている若い女性、
同じ物件に住み、さえない見た目だが税理士で富裕層を相手に財を成している若い男性、
とNYで暮らしを得ている80年代の若者や女性の社会進出を感じられる作品。
後からゴーストバスターズに加わった、素直に信じる力がある1人と、ゴーストバスターズの事務職女性1人が、一般的なNYの庶民を表現している。
80年代後半。不安定な職も多そうだ。