こわれゆく女のレビュー・感想・評価
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カサヴェテスの名作
苦しくてたまらない一本だった。
ルイス・トマスの「人間というこわれやすい種」という本がある。
人間というものはこわれやすい生物だ、だから尊いんだ、という意味だ。そして、ヒトの本性の深いところにある特徴は、誰かの役に立ちたいという衝動だそうだ。
「人間はこわれやすい」ということと「人間は自分以外の何かの役にたちたい」ということは繋がっている。
メイベルの中心にひそむ矛盾、葛藤、弱点は、人間の本質なのかもしれない。
ブルーカラーのピーターフォーク。男臭がして色気があった。
「かけがえのないもの」と向き合ったとき、どう育んでいくのかを考えさせられた。我々の永遠のテーマが、どこにでもある家庭の中に描かれていた。
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これが夫婦、なにはともあれ
一家の主婦がこわれていく様と巻き込まれる家族が、独特の生々しさで描かれています。
ジョン・カサベテス監督、1975年の作品です。
主演は、監督の奥さんでもあるジーナ・ローランズとピーター・フォーク。刑事コロンボのピーター・フォークも大好きですが、盟友ジョン・カサベテス監督作の彼は、またひと味違うって感じでした。
話がどんどん進むわけでもなく、ちょっとかったるい感じですが、ジーナ・ローランズの狂気の演技は凄味があります。
愛情はあるのに上手く回っていかない夫婦の焦燥感や、落ち着かないバツの悪い空気感がとても生々しいです。
終盤は緊迫し、とても印象的でした。これが家族、これが夫婦。
ラストの二人の表情はずっと忘れないだろうと思います。
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