「インディー映画の父」こわれゆく女 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
インディー映画の父
高崎"女"祭大トリ登場であるw
ジョン・カサベテス この監督を初めて知ったのは内田英治監督「下衆の愛」で、主演である渋川清彦演じる映画監督の部屋に飾っていた外国人の写真
勿論、この人物は誰だかは解らないが、主人公のうだつの上がらない映画監督が理想とする憧れの人なのだと言うことは容易に想像できる演出である
しかし中々カサベテスの作品を観る機会はなく、DVDで観るには、やはり映画作品なのだからスクリーンで観たいという思いも捨てきれず、今に至る
まさか、今流行りのレトロスペクティヴ(映像レストア)で再上演という機会を経ての観賞である 有名な作品は今作品以外にもあるのだが、題名に惹かれての観賞
確かにぶっ飛んだ、今のインディーズ映画の監督達が魅了される程のインパクトの強い内容である
情緒不安が進行する妻、イタリア系移民にステレオタイプ的に描かれる家父長制というソースに塗される夫、そして次世代を担う未だ幼き子供達 周りのコミューンの多さや、すぐに集まる程のプライバシーの欠如 健康的な職場環境なぞ夢な仕事 そんな下地故に、益々追い詰められる夫婦が、精一杯の理性を振り絞りながらなんとか踏みとどまる関係性をゴリゴリと臼を轢くように演出されるストーリーテリングに心を鷲づかみにされる 少々乱暴なカット割りや心情描写の拙さを吹っ飛ばす程の力強さを荒々しく演じてみせる俳優陣もまた見事である
どんどんと壊れていく妻の演技は、観る者を恐怖のずんどこへと誘う 輪を掛けるように夫のDV的圧力 今の時代ならばもうホラーでしかそのカテゴリは当てはまらないであろう
あれだけしつこいほどのリピートと天丼を繰返しながらの、ラストの呆気ないベッドメイクは、してやられた感満載である このウィットとドライ感、そして地獄が毎日繰り返される日常感、諦観と藻掻く情熱の波状攻撃を、若い映画監督は渇望しているのだと、改めて思い起こさせるきっかけを描いてみせた今作、私も忘れられない一作に加えたいと・・・ どいつ目線なんだ、私は(苦笑
共感ありがとうございます。
評判の高いカサヴェテス作品を勉強のつもりで、特集上映を観ています。映画になりそうもない題材ですが、やっぱり切り取り方は映画ならではなんでしょうね。特集は後3作、作家性を探ります。