「Remember, remember the 5th of November. 分かりやすく映画化。」V フォー・ヴェンデッタ アキ爺さんの映画レビュー(感想・評価)
Remember, remember the 5th of November. 分かりやすく映画化。
原作は魔術師アラン・ムーア。DCコミックの大人向けレーベルのヴァーティゴから出ていたコミックなのですが、まー難解過ぎて読みにくいし分かりにくい。アラン・ムーアって有名なコミック・ライターでも、だいたい難しくって単純に楽しめる作品を作る作家ではないんですよね~。基本的にエンターテイメント性は低いです。なんて言ってるのが本人にバレたら魔術で呪われそうですが💦
でも、映画化は随分スマートになっていて楽しめました。これは制作脚本を務めたウォシャウスキー兄弟(現在は姉妹)の功績が大きいのではないでしょうか?やたらと同性愛にフォーカスされているのは当時の監督の趣味っぽいです。
ナタリー・ポートマンが相変わらず美しいですね。ロリータ・ファッションになったり、丸坊主になったり、美人でも色々と挑戦する姿勢は素晴らしいと思います。なんだかんだで大作からミニシアター系まで幅広いですよね。ヒューゴ・ウィーヴィング、一度も顔出なくっても特徴的な声で分かってしまうのがスゴい所。エキセントリックなVに見事になりきってる感じです。
Vがイヴィーを拷問した後に色々と目的を話していたのはDV男の言い訳に見えてちょっと気持ち悪かったです。イヴィーがその後VにハマってしまうのはDV男から抜けられなくなる心理を見ているようでした。怖い怖い。
でも本作の主題を「革命」と見るのなら、投げっぱなしで終わるので危険だと思います。政府潰すだけ潰してその後の国の舵を取る人間が生まれずに終わるんで、結果的に言うなれば無政府状態になってしまうんですよね。で、人間の歴史を省みると、そういう状況では力を持つ軍部が権力を握る事が多いんですよ。武力政権が生まれる訳です。それって結局権力の集中になってしまうのではないかなと。1つを潰してもその先の道筋を立てなければ別の似たような政権が生まれて終わるんじゃないのかなっと思ってしまう訳です。
鬱屈してた民衆を動かしていたので勘違いされそうですが、本作でVがやった事はあくまでも個人的な「復讐」であって「革命」ではないんですよね。逆にこの後の英国がどうなるのかが気になってしまいました。