トロイ : インタビュー
ホメロスの叙事詩「イリアス」を、巨額の製作費を投下して映画化、今年のサマーシーズンの口火を切って公開された話題の大作「トロイ」。日本公開直前に、キャンペーンのために来日したウォルフガング・ペーターゼン監督以下、出演者のエリック・バナ、ダイアン・クルーガー、ローズ・バーンに、本作について語ってもらった。
ウォルフガング・ペーターゼン監督インタビュー
「魅力的なキャストたちとの仕事は、今までで一番素晴らしい体験だった」
編集部
――この作品を作ることになった経緯を教えてください。
「ワーナー・ブラザースから、デビッド・ベニオフが『イリアス』を基にした脚本を書いていると聞いたんだ。それを聞いたときはとても興奮したよ。学生時代からギリシャ神話に興味があったし、勉強もしたからね。ワーナー・ブラザースとは、以前からいろいろと脚本を見せてもらってりして仲が良かったから、是非やりたいって言ったんだ。そうしたらOKが出て、その後、ブラッド・ピットがアキレス役に興味を示し、製作がスタートしたんだ」
――キャスティングがとても魅力的ですが、どのようにして決めていったのでしょうか?
「私も今回のキャストは大好きだ。彼らとの仕事は、今までで一番素晴らしい体験になった。私は『この俳優では役に合わない』と考えるのではなく、『この俳優なら何の役がいいだろう』と考えながらオーディションをしていったんだ。世界中から多くの俳優が興味を示してきたので、それは大変な仕事だったが、最終的にブラッド・ピットのような大スターと、これからを期待されているオーランド・ブルーム、往年の名優ピーター・オトゥール――プリアモスにはピーター・オトゥールを最初から思い描いていた――やジュリー・クリスティー、それにエリック・バナやショーン・ビーンなど素晴らしい顔ぶれが、上手い具合にミックスされた。そこにダイアン・クルーガーやローズ・バーンといった新鮮な女優も加わって、最も魅力的なアンサンブルキャストが実現したんだ」
――今回は稀に見るスケールの大きいプロジェクトですが、監督として一番留意した点は?
「戦闘シーンの細部にばかり気を取られたり、作品のスケールに圧倒されないことだね。戦闘シーンばかりに気を取られて、俳優たちを放っておいては、この映画は成り立たない。感情的なシーンは、俳優たちが役柄に入りやすいように心掛けたよ。両者のバランスを保つことが大事だったんだ」
――「トロイ」は3000年前の物語にも関らず、現代に通じる示唆が随所に見られると思います。映画に込めたメッセージなどはありますか?
「製作に関わった誰もが、この物語が、いかに現代的で新鮮かということを感じたはずだ。映画の中の物語が、今、現実に起こっていることを鏡のように映し出している。アガメムノンのように権力に執着した人物はいつの時代にもいるし、悲劇は何度も繰り返される。悲しいことだけど、それが人間というもので、どうしようもないことでもあるんだ。ホメロスの『イリアス』が今なお色褪せない名作であるのは、そういった要素を含んでいるからなんだ」