トリコロールに燃えて : インタビュー
シャーリーズ・セロンにとって、「トリコロールに燃えて」は、アカデミー賞受賞後の初主演作品となる。「モンスター」での殺人鬼役とは対照的に、激動の時代を奔放に生きるギルダ役では、持ち前の美貌をいかんなく発揮している。シックな黒髪になった彼女に、小西未来氏がロサンゼルスで取材・撮影した。
シャーリーズ・セロン インタビュー
「地に足をつけて、変わらないアプローチでいきたいの」
小西未来
――13キロも増量して連続殺人鬼を演じた「モンスター」から一転、今回は華麗な女性を演じていますね。
「うん。『モンスター』からできるだけ遠い場所に行きたかったの。役者にしてみれば、似たような役柄ばかりこなすほど退屈なこともないからね。これほど違った役柄――精神面でも肉体面でも、ね――に挑戦することができて、本当にエキサイティングだった」
――あなたが演じたギルダは、ミステリアスで、非常に魅力的な女性ですよね。
「ギルダの頑固さとタフさが、とくに気に入ってるの。自分で決めたさまざまなルールに、しっかりと従って生きていて。物怖じせずに、自分の意見をはっきりと述べたし。ギルダは、あの時代には現代的過ぎたのよ」
――実生活の恋人であるスチュアート・タウンゼントとの共演はいかがでしたか?
「もし相手役が彼じゃなかったら、もっと苦労していたんじゃないかな。映画を観てもらえばわかると思うけど、いわゆるラブストーリーは前半だけで、中盤以降は、2人の関係が壊れていく様子が描かれている。自己破壊的な性格のギルダが、愛を壊してしまうの。甘いロマンスだけだったらそれほど難しくはないんだけど、恋愛関係におけるネガティブな場面を演じる際は、相手の役者さんとの駆け引きがとても大事で、お互いがうまく呼応しあわないと、いいシーンにはならない。だから、プライベートでも信頼を寄せている彼と共演できて、本当に良かったと思ってるわ」
――アカデミー賞を受賞されて、女優としての生活に変化はありましたか?
「アカデミー賞授賞式はとてもラブリーな夜として記憶に残っているんだけど、実はその翌日から現実に引き戻されちゃった。でも、それってとても大事なことだと思うの。みんなに感謝の気持ちを抱きながらも、演技の仕事にしっかりと打ち込むことが、ね。アカデミー賞のおかげで、役者としての可能性が広がったことは確かだけど、自分らしさを維持することも大事だと思うの。地に足をしっかりとつけて、これまでと変わらないアプローチで精進していきたいって思ってるわ」