トラフィック(2000)のレビュー・感想・評価
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心が痛いリアリティとファンタシー
アメリカ社会が麻薬に蝕まれ苦しむ姿は、この映画から約20年経っても少しも変わらない
麻薬問題をあつかう映画なのに小さな子供達が良く画面に映りそのかんだかい声が耳に残る映画だ
その子供達は今成人しているだろう
そのうち一体どのくらいの子供達が麻薬中毒者になってしまっているのだろうか?
子供達を守れ、誇るべき米国社会はメキシコのように崩壊した社会に転落してしまうぞとの悲鳴が聞こえる
ラストシーンの夜間照明が設置されたメキシコの公園
暗くなってもそこで野球をして遊ぶ子供達の姿と見守る家族達
それは転落した国の中でも、たった一人であっても、誘惑や脅迫に揺るがず戦い抜けば、そのような地獄の底からでも子供達を守り次世代に繋げ再生していくことは可能なのだとのメッセージだ
リアリティは麻薬組織、対策捜査の状況もさることながら、家庭内の麻薬戦争の描写にこそ嘘の無い迫真さがある
出張から帰った夫を車で迎える妻
疲れ果てて家路に向かう車中の口論
麻薬のような深刻な話ではないが、子供達が反抗期で荒れた時代の自分達家族の記憶と繋がる
身の丈で米国社会の痛みを共有する映画だ
しかしファンタシーなのだ
娘の転落を救うこと、本当の自分の仕事は娘のそばに寄り添うことにあるとホワイトハウスでの記者会見で悟る父親
メキシコの照明の付いた公園で次世代の子供達が野球を楽しむ
そんなことはファンタシーだ
それがわかっているから余計に心が痛いのだ
悪顔名優ベニチオ・デルトロ!
2回目でやっと理解
難しかったので2回観てやっと理解した。
3つの場面は視覚的にわかりやすく区別されていて、大抵の人はわかる笑
それぞれの人物や事件が絡み合う様子は複雑で、絶対に置いていかれてはいけない!
娘がヤク中は嫌だなぁ〜でも、それだけ身近にあるものだってことかね
「どうしよう?」「どうする?」×2←お気に入り
場所ごとに色合いが変わるというのはいいアイデア。
それがなかったらちょっとわかりにくいかも。それぐらい話がコロコロ
変わっていく。
現実をこれでもかと突きつけられて、内容はかなり重め。
まあ麻薬の話なんだから当然といえば当然なんだけど、最後には
ハッピーエンドっぽい終わり方。
でも現実は麻薬がなくなることなんかないわけで、ただちっちゃいちっちゃい事件が解決しただけ。
世界中にあの娘みたいな犠牲者が増え続けると思うと悲しいなあ。
スティーブン・ソダーバーグ!!
映画好きでよかったって思える作品です
とてもとても、ほんとうにとても素晴らしい作品です。こういう作品に出会えると、おおげさですが生きてて良かったって思えます。
監督はスティーブン・ソダーバーグ。「セックスと嘘とビデオテープ」でカンヌ・パルムドールを最年少で取ったアメリカ人で、それから長いスランプを経験されました。本作は、長い停滞から脱して本物の監督に変身した記念すべき作品です。
内容は、ドラッグ取引(=トラフィック)を巡っての群像劇。北米自由協定(NAFTA)が皮肉にも追い風になって巨大産業になった麻薬ビジネスが、アメリカとメキシコのアングルから多角的に描き出されます。それぞれの世界で苦闘する人間たちがそれでもと心に温める「希望」が、エンディングに向かうにつれて活き活きと浮かびあがってきます。
映像の調光が素晴らしく、まるで美術館に来たかのような美しい表情が、ストーリーが重苦しくなるのに対比して、色々な人から見えてくるようになります。とくにベネチオ・デルトロのエンディングの表情は最高です。
ソダーバーグのストーリーテリング術には最先端の哲学が色濃く影響していて、「物語」という概念は従来のものから刷新され、この世界の新しい見方を提示しています。それ以降の映画の多くが本作に影響を受けていることがよく分かりました。
目の覚める映画でした。
麻薬密売を巡る群像劇
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