劇場公開日 2001年4月28日

「映画好きでよかったって思える作品です」トラフィック あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0映画好きでよかったって思える作品です

2009年7月19日
鑑賞方法:DVD/BD、CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

知的

とてもとても、ほんとうにとても素晴らしい作品です。こういう作品に出会えると、おおげさですが生きてて良かったって思えます。

監督はスティーブン・ソダーバーグ。「セックスと嘘とビデオテープ」でカンヌ・パルムドールを最年少で取ったアメリカ人で、それから長いスランプを経験されました。本作は、長い停滞から脱して本物の監督に変身した記念すべき作品です。

内容は、ドラッグ取引(=トラフィック)を巡っての群像劇。北米自由協定(NAFTA)が皮肉にも追い風になって巨大産業になった麻薬ビジネスが、アメリカとメキシコのアングルから多角的に描き出されます。それぞれの世界で苦闘する人間たちがそれでもと心に温める「希望」が、エンディングに向かうにつれて活き活きと浮かびあがってきます。

映像の調光が素晴らしく、まるで美術館に来たかのような美しい表情が、ストーリーが重苦しくなるのに対比して、色々な人から見えてくるようになります。とくにベネチオ・デルトロのエンディングの表情は最高です。

ソダーバーグのストーリーテリング術には最先端の哲学が色濃く影響していて、「物語」という概念は従来のものから刷新され、この世界の新しい見方を提示しています。それ以降の映画の多くが本作に影響を受けていることがよく分かりました。

目の覚める映画でした。

あんゆ~る
あんゆ~るさんのコメント
2009年8月3日

どうもどうもどうも。

まぁ、一度で理解できなくても心に取りつく映画は見直してみるとさらによくなっているしそういう映画にA+をつけるのがいいだろう、という経験則があるのですよ。←苦し紛れのごまかし

痛々しいほどに輝いている作品に会えた時、監督さんの痛さに共感して、同情票を入れてしまっているのかもしれませんね。

何かを犠牲にしなきゃ良い作品はつくれないし、この人あの人もそれで多大なる犠牲を払っていらっしゃるのだろう、と。

でも、この映画はまぢいいっすよ。

わたくしホテルマンだったんで、光効果をうまくやってる作品好きなんです。そういった意味で白黒映画は、制限がある分、光の使い方に注意を払うから大好きですね。

あんゆ~る
るひえるさんのコメント
2009年7月31日

ずーっとこのレビューを拝見してきまして

最近気付いたことが!

「あんゆ~るさんのA+評価作品は
1度では理解しきれない」ってこと(笑)。

この作品も「いいなぁ~でもあと1~2回観ないと
本当のよさはわからないなぁ」って思いました。

3人の主要人物の演技に映像美
これは堪能できたので。。

次は脚本にもう少し力入れて観てみたいです。

その後、ソダ―バーグ監督の素晴らしさが
本当にわかる気がしますね(遅い?)

「エリンブロコビッチ」は一発で理解できる作品でしたが
この作品はちょっと難しかったです・。・;

でも、好きです!!

るひえる