トラフィックのレビュー・感想・評価
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【”麻薬戦争”墨西哥で麻薬輸出により地位を成す者及びそれを取り締まる刑事、密輸の首謀者の夫と子を守るために行動を起こす妻、米国で密輸を防ぐ最高地位にある娘が麻薬に溺れた男の姿を同時進行で描いた作品。】
ー 冒頭から、多数の麻薬に関わる登場人物が登場するために、脳内フル回転で観た映画である。-
■麻薬カルテルの一味であるフロレスが逮捕されると、犯罪取締官サラサール将軍は彼を拷問にかけて、麻薬組織オブレゴン・カルテルの居場所を吐かせる。
そんななか、夫、カールが麻薬組織に絡んで多額の金を得ていたことを知った妻へレーナ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、贅沢な生活を捨て切れず、自ら墨西哥に出掛け夫を密告した男を殺す様に、ある行動に出る。
一方、麻薬撲滅担当になったロバート(マイケル・ダグラス)と、名門校に通う娘キャロラインが麻薬中毒になる過程が、同時間軸で描かれる。
◆感想
・ハッキリ言って、スティーヴン・ソダーバーグ監督作品名だけあって、ナカナカに複雑な群像劇である。
・そんな中で、光を放っているのは、メキシコで麻薬捜査に当たるハビエル・ロドリゲスを演じるベネチオ・デル・トロである。
ー 「ボーダーライン」のイメージがあるからかもしれないが、彼が墨西哥の麻薬王、犯罪取締官でありながら実は麻薬王のサラサール将軍の配下にさせられながらも、彼が言った言葉。
”野球場にライトを付けてくれ。皆野球が好きだろう。麻薬に手を出さすに野球を楽しめば、麻薬は少しは減る筈だ。ー
・キャサリン・ゼタ=ジョーンズ演じるへレーナは、富のある生活を捨てられずに、愚かしき行動に出るし、マイケル・ダグラス演じるロバートも、”自分の娘が麻薬中毒になっている事も知らない所が、シニカルである。
<ラストシーンが良い。
煌々と光が灯る野球場で、大勢の子供達と楽し気に野球を見るハビエル・ロドリゲスの姿。
今作は、アメリカで麻薬が広まっているのは墨西哥だけの責任ではなく、アメリカ自身の問題である事をスティーヴン・ソダーバーグ監督が、強烈に伝えた作品なのである。>
恐ろしさと社会の問題を見る、非常に深い映画
アメリカ社会における麻薬の現実を
製造国のメキシコ、密売する売人、取り締まる側なのに麻薬に翻弄される家族
の主に3視点から見る映画。
社会派ドラマでもありヒューマンドラマでもある、アカデミー賞4部門に輝いた名作。
最初は個々の物語に思えるのが、進むにつれて徐々に点が線で繋がってくる。
全てが繋がった時、アメリカ中に広がる麻薬という存在について非常に深く考えさせられます。
それにしてもマイケル・ダグラス演じるロバートの立場、辛いですねぇ……
手を出すと必ずあなたの人生を狂わせる麻薬。
ダメ。絶対。
劇場公開時鑑賞。
3つのストーリーが影響し合いつつ進んでいく群像劇、ということで、ああもうそれだけで好き。結局は誰のどこを切り取って映画に組み込むかが重要なので、結局は脚本の勝利だったのだと思う。
これでよしソダーバーグ追いかけよう、と思ったのですが…
ばかやろう
麻薬をめぐるさまざまな人間の群像劇。
ひとりの父としてはやっぱり、子どもが乱用してる…と知った時のショック。
あのシーンがもう刺さりに刺さってしまって、
将来、こんなことになったらどうしよう と。
アメリカと日本じゃ状況がぜんぜん違うと思うけど、
麻薬に限らず、そういう破滅への誘惑ってあるよねって。
映画としては重厚のひとことで、
だからこそ最後に示された本当にかすかな光の一筋が
非力ではあるけど尊いものに思えた。
蛇足だけど、フィリピンの大統領ってすげえんだなあと改めて思った。
全員、儲け役。特にドン・チードル。
素晴らしい。
ソダーバーグ、雑多な群像劇にして皆が儲け役という巧さ。
ベニトロ、マイダグ、キャスゼタ。
特にドンチードル。
積み木くずし 女子のガチなブスっぷり(すみません)が作品のリアリティに大きく貢献。
コンテイジョン 同様、目が離せない力作秀作。
複雑だけど面白い
複雑で観てて、登場人物の顔と名前が一致しなくて、コイツは今どういう立場なんだと、途中で一回止めて整理。そして、続きを観たら理解できた。
内容は複雑で理解し辛いけど、主な場面3つで映像の色合いを区別していてそこは分かりやすかった。
大きなアクションとかはないし、麻薬密輸が無くなることは困難だなと思わせられたけど、それぞれの主要人物に希望のあるラストがあって良かった。特にデルトロのシーンにグッときた。
サラザール将軍の言ったことがブーメランで返ってくる展開が皮肉で好き。
BS朝日吹替版鑑賞。 3つの別の話が同時進行する。どれも非常にリア...
BS朝日吹替版鑑賞。
3つの別の話が同時進行する。どれも非常にリアル、アメリカの麻薬の実態がよく分かる。が、見ていて面白いって話じゃない。長いし。
分かったこと
・メキシコっていろいろやばい。
・アメリカでの麻薬蔓延がなくなることはない。銃と同様だ。
巨悪の実態、勉強になる映画だった。
デル・トロとドンチードルがいるだけで
この映画を2020年に初めて観た奴の評価なんてクソだ(この評価のことだ)。
デル・トロが画面に出てくるだけでもっと酷いことが起こるに違いないと思うのはお門違いだ。
ドンチードルのことをもっと魅力的に撮って欲しいと思う俺はなんて自分勝手なのか。
2010年代に如何に映画やエンターテイメントの世界で麻薬カルテルの刺激の虜になっているか、その確認。
アカデミー賞4部門は伊達ではない。
アメリカとメキシコを舞台にした麻薬を巡る群像劇。メキシコとアメリカの刑事、アメリカの麻薬対策責任者、その娘、そしてエリート然としながら密輸を取り仕切るビジネスマンと妻。彼らの姿を淡々と描きます。
アカデミー賞4部門を獲得した名作で、流石に見応えがありました。
複数のストーリーが同時進行で進みますが、構成や映像の差別化が素晴らしく、まったく違和感を感じさせません。敵はあまりに巨大で、それでいて曖昧で、勧善懲悪のようなエンディングは望めません。ただ、それでも各々のストーリーで、薄日のような明るさを感じるエンディングとなっていました。
点数をやや低めに抑えたのは、やはりヒーローのような人物によるカタルシスを私が求めているからなのだと思います。
ひとつのストーリーごとに映像の色調を変えるというのは良いアイデアで...
ひとつのストーリーごとに映像の色調を変えるというのは良いアイデアですね。
お陰で混乱する事無く鑑賞出来ました。
派手な作品ではありませんが、ドラッグに翻弄される人々をリアルに描ききった素晴らしい作品でした。
希望の感じ幸られるラストも好印象。
幸い日本では、国民性の違いもありますが、密輸入し難い島国なので、ここまで酷い状況ではありませんが、他所の国の出来事とばかり言っていられないですね。
麻薬を完全否定する気はないのですが、そうは言っても麻薬関連の問題も人間が克服しなくてはならない課題の1つですね。
デル・トロさん!オスカーおめでとう!
個人評価:3.7
ベニチオ・デル・トロのオスカーを取った演技が光る。
アメリカ側の麻薬取締の最高責任者であるマイケル・ダグラスの国を守る役目と、父親として娘を守る事への葛藤と対比がなんとも素晴らしい。
この国では未成年はお酒よりも麻薬の方が簡単に手に入るという台詞が耳に残る。
子供達を守るのは大好き野球ができる球場を作る事だと説いたデル・トロとの考え方とラストがリンクして、いい余韻で終わっていく。
心が痛いリアリティとファンタシー
アメリカ社会が麻薬に蝕まれ苦しむ姿は、この映画から約20年経っても少しも変わらない
麻薬問題をあつかう映画なのに小さな子供達が良く画面に映りそのかんだかい声が耳に残る映画だ
その子供達は今成人しているだろう
そのうち一体どのくらいの子供達が麻薬中毒者になってしまっているのだろうか?
子供達を守れ、誇るべき米国社会はメキシコのように崩壊した社会に転落してしまうぞとの悲鳴が聞こえる
ラストシーンの夜間照明が設置されたメキシコの公園
暗くなってもそこで野球をして遊ぶ子供達の姿と見守る家族達
それは転落した国の中でも、たった一人であっても、誘惑や脅迫に揺るがず戦い抜けば、そのような地獄の底からでも子供達を守り次世代に繋げ再生していくことは可能なのだとのメッセージだ
リアリティは麻薬組織、対策捜査の状況もさることながら、家庭内の麻薬戦争の描写にこそ嘘の無い迫真さがある
出張から帰った夫を車で迎える妻
疲れ果てて家路に向かう車中の口論
麻薬のような深刻な話ではないが、子供達が反抗期で荒れた時代の自分達家族の記憶と繋がる
身の丈で米国社会の痛みを共有する映画だ
しかしファンタシーなのだ
娘の転落を救うこと、本当の自分の仕事は娘のそばに寄り添うことにあるとホワイトハウスでの記者会見で悟る父親
メキシコの照明の付いた公園で次世代の子供達が野球を楽しむ
そんなことはファンタシーだ
それがわかっているから余計に心が痛いのだ
悪顔名優ベニチオ・デルトロ!
俳優達の演技で勝負している感の強い作品。
シンプルな映像とは裏腹に複雑に進行する場面構成。
一時も目がはなせない。油断するとホントに置いていかれる(笑)
99パーセントの悲しみと1パーセントの希望が心に響く映画。
スティーブン・ソダーバーグ!!
いくつかの話が同時進行で進んでいくので少し難しく感じられる方もいらっしゃるかもしれませんがそれを踏まえてみればわかりやすいかと思います。
人の心も肉体も蝕んでいく麻薬を色々な目線からとらえています。売る側も買う側も結局は麻薬に蝕まれてしまい人間はなんて弱い生き物かと考えさせられます。
スティーブン・ソダーバーグ監督、彼の作品はとても深いです。オーシャンズシリーズ以外にも素晴らしい作品がたくさんあるので一度チェックして見てください。
映画好きでよかったって思える作品です
とてもとても、ほんとうにとても素晴らしい作品です。こういう作品に出会えると、おおげさですが生きてて良かったって思えます。
監督はスティーブン・ソダーバーグ。「セックスと嘘とビデオテープ」でカンヌ・パルムドールを最年少で取ったアメリカ人で、それから長いスランプを経験されました。本作は、長い停滞から脱して本物の監督に変身した記念すべき作品です。
内容は、ドラッグ取引(=トラフィック)を巡っての群像劇。北米自由協定(NAFTA)が皮肉にも追い風になって巨大産業になった麻薬ビジネスが、アメリカとメキシコのアングルから多角的に描き出されます。それぞれの世界で苦闘する人間たちがそれでもと心に温める「希望」が、エンディングに向かうにつれて活き活きと浮かびあがってきます。
映像の調光が素晴らしく、まるで美術館に来たかのような美しい表情が、ストーリーが重苦しくなるのに対比して、色々な人から見えてくるようになります。とくにベネチオ・デルトロのエンディングの表情は最高です。
ソダーバーグのストーリーテリング術には最先端の哲学が色濃く影響していて、「物語」という概念は従来のものから刷新され、この世界の新しい見方を提示しています。それ以降の映画の多くが本作に影響を受けていることがよく分かりました。
目の覚める映画でした。
麻薬密売を巡る群像劇
麻薬取引の闇売買ルート(トラフィック)とそれを巡る人々の群像劇。
多くの登場人物が出てくるんですが、誰が主役ということはなく、全員が主役であり脇役であり【トラフィック】の一部であるというところが面白いです。
複数の場所の複数の物語が同時進行的に進んでいくので、油断していると話についていけなくなるかもしれません。
とは言え、最後までグイグイと引っ張っていく力強さのある作品だと思います。
この作品を観ると、麻薬という物がどれだけ一般社会に入り込んでいるのか?ということを考えさせられて、暗い気持ちになります。
ただ一つ。ラストシーンだけは『救い』がありますね。
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