トラフィック(2000)のレビュー・感想・評価
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深刻さ、根深さ、報い
メキシコの警察官ロドリゲスとサンチェスは、サラザール将軍から麻薬組織のフロレス逮捕を命じられる。アメリカオハイオ州のウェークフィールド判事は麻薬対策の連邦最高責任者に任命されるが、娘が麻薬中毒に陥ってしまう。サンディエゴの裕福な家庭のヘレーナの夫が突然逮捕され、彼女は初めて夫の正体を知り。
タイトルにインパクトがないのが残念、しかし重厚で見ごたえのある作品でした。麻薬問題の深刻さ、根深さ、報いを痛感します。ヘレーナの転身は理解できないけど、実際にそういう事件もあったのだろう、と思われます。それぞれの地域の場面を、フィルターを変えて描いているのが分かりやすくてよかった。
「敗戦を知らない孤島の日本兵」というセリフがあります。横井さん小野田さんの事例が、アメリカで皆が知っている常識なのかと思われます。
Ballpark Dream
三つの地点で麻薬に関係する高官、捜査員、容疑者、黒幕、その家族たちのそれぞれのドラマが交錯するし、セリフも唐突で繋がりを無視しているので、よほど頭が切れる人でない限り話はわかりません。
要するに麻薬シンジケートを追い詰めてゆく話ですが、ストーリーを追うものではなく、わからないことは承知の上で、手持ちカメラや中抜きショット、ブツ切れのセリフと粒子の粗い画面を多用したドキュメンタリー風の「ヤバイ雰囲気」を感じさえすればいい作品です。
トラフィックとは取引の意味ですが、DealやTradeと違って「ヤバイ取引」を意味するとのことだそうですから。
公開時以来24年ぶりですが、最も印象に残るラストシーンでした。
【”麻薬戦争”墨西哥で麻薬輸出により地位を成す者及びそれを取り締まる刑事、密輸の首謀者の夫と子を守るために行動を起こす妻、米国で密輸を防ぐ最高地位にある娘が麻薬に溺れた男の姿を同時進行で描いた作品。】
ー 冒頭から、多数の麻薬に関わる登場人物が登場するために、脳内フル回転で観た映画である。-
■麻薬カルテルの一味であるフロレスが逮捕されると、犯罪取締官サラサール将軍は彼を拷問にかけて、麻薬組織オブレゴン・カルテルの居場所を吐かせる。
そんななか、夫、カールが麻薬組織に絡んで多額の金を得ていたことを知った妻へレーナ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、贅沢な生活を捨て切れず、自ら墨西哥に出掛け夫を密告した男を殺す様に、ある行動に出る。
一方、麻薬撲滅担当になったロバート(マイケル・ダグラス)と、名門校に通う娘キャロラインが麻薬中毒になる過程が、同時間軸で描かれる。
◆感想
・ハッキリ言って、スティーヴン・ソダーバーグ監督作品名だけあって、ナカナカに複雑な群像劇である。
・そんな中で、光を放っているのは、メキシコで麻薬捜査に当たるハビエル・ロドリゲスを演じるベネチオ・デル・トロである。
ー 「ボーダーライン」のイメージがあるからかもしれないが、彼が墨西哥の麻薬王、犯罪取締官でありながら実は麻薬王のサラサール将軍の配下にさせられながらも、彼が言った言葉。
”野球場にライトを付けてくれ。皆野球が好きだろう。麻薬に手を出さすに野球を楽しめば、麻薬は少しは減る筈だ。ー
・キャサリン・ゼタ=ジョーンズ演じるへレーナは、富のある生活を捨てられずに、愚かしき行動に出るし、マイケル・ダグラス演じるロバートも、”自分の娘が麻薬中毒になっている事も知らない所が、シニカルである。
<ラストシーンが良い。
煌々と光が灯る野球場で、大勢の子供達と楽し気に野球を見るハビエル・ロドリゲスの姿。
今作は、アメリカで麻薬が広まっているのは墨西哥だけの責任ではなく、アメリカ自身の問題である事をスティーヴン・ソダーバーグ監督が、強烈に伝えた作品なのである。>
恐ろしさと社会の問題を見る、非常に深い映画
劇場公開時鑑賞。
タイトルなし(ネタバレ)
麻薬取引に関する3つのストーリーが直接的にそこまで関わらずに進んでいく
3つのストーリーは映像の色や質感等で分けられてるので今どの話??とはならずに見れる優しい仕様
監督オーシャンズ11シリーズの人なんだね
ゲイのフリをふるベニチオがイヤらしくてスキ
色んな人のレビューにある通りラストの希望感が心を温かくする
麻薬取引に関する物語を3つの視点で見れて
しかも映像分けのお陰でこんがらがらず見れるので
儲けもんです
終盤までのドロドロとした麻薬との関係性とラストの爽やかさのグラデーションが本当に素敵なので見ましょう
ばかやろう
全員、儲け役。特にドン・チードル。
複雑だけど面白い
BS朝日吹替版鑑賞。 3つの別の話が同時進行する。どれも非常にリア...
デル・トロとドンチードルがいるだけで
薬物汚染社会
麻薬問題を多角的な視野から描いた主役が誰かわからないアンサンブル・ドラマ。出だしは麻薬捜査のアクション映画かと思ったがホームドラマに切り替わりあっけにとられた。
ソダーバーグ監督が時流を嫌って考えた斬新な手法なのだろうが話がブツ切れに切り替わるので私の頭では流れについてゆくのがやっとで映画を楽しむ余裕が失せてしまった。話の舞台ごとに色調を変えていたのは製作陣も分かりにくいのではと思ったのだろうか・・。
米国の薬物汚染は深刻な社会問題なのは理解できるが高校生の薬物摂取をリアルに描くので痛ましさがつのる。権力の腐敗が絡む話はありきたりだしメキシコは風土的にも馴染みがない地域なのでとっつきにくい。アクションもミステリーも希薄で娯楽性と言う意味では期待しない方が良いかもしれない。
アカデミー賞4部門は伊達ではない。
アメリカとメキシコを舞台にした麻薬を巡る群像劇。メキシコとアメリカの刑事、アメリカの麻薬対策責任者、その娘、そしてエリート然としながら密輸を取り仕切るビジネスマンと妻。彼らの姿を淡々と描きます。
アカデミー賞4部門を獲得した名作で、流石に見応えがありました。
複数のストーリーが同時進行で進みますが、構成や映像の差別化が素晴らしく、まったく違和感を感じさせません。敵はあまりに巨大で、それでいて曖昧で、勧善懲悪のようなエンディングは望めません。ただ、それでも各々のストーリーで、薄日のような明るさを感じるエンディングとなっていました。
点数をやや低めに抑えたのは、やはりヒーローのような人物によるカタルシスを私が求めているからなのだと思います。
ひとつのストーリーごとに映像の色調を変えるというのは良いアイデアで...
デル・トロさん!オスカーおめでとう!
心が痛いリアリティとファンタシー
アメリカ社会が麻薬に蝕まれ苦しむ姿は、この映画から約20年経っても少しも変わらない
麻薬問題をあつかう映画なのに小さな子供達が良く画面に映りそのかんだかい声が耳に残る映画だ
その子供達は今成人しているだろう
そのうち一体どのくらいの子供達が麻薬中毒者になってしまっているのだろうか?
子供達を守れ、誇るべき米国社会はメキシコのように崩壊した社会に転落してしまうぞとの悲鳴が聞こえる
ラストシーンの夜間照明が設置されたメキシコの公園
暗くなってもそこで野球をして遊ぶ子供達の姿と見守る家族達
それは転落した国の中でも、たった一人であっても、誘惑や脅迫に揺るがず戦い抜けば、そのような地獄の底からでも子供達を守り次世代に繋げ再生していくことは可能なのだとのメッセージだ
リアリティは麻薬組織、対策捜査の状況もさることながら、家庭内の麻薬戦争の描写にこそ嘘の無い迫真さがある
出張から帰った夫を車で迎える妻
疲れ果てて家路に向かう車中の口論
麻薬のような深刻な話ではないが、子供達が反抗期で荒れた時代の自分達家族の記憶と繋がる
身の丈で米国社会の痛みを共有する映画だ
しかしファンタシーなのだ
娘の転落を救うこと、本当の自分の仕事は娘のそばに寄り添うことにあるとホワイトハウスでの記者会見で悟る父親
メキシコの照明の付いた公園で次世代の子供達が野球を楽しむ
そんなことはファンタシーだ
それがわかっているから余計に心が痛いのだ
悪顔名優ベニチオ・デルトロ!
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