劇場公開日 2002年11月2日

ザ・リング : 特集

2002年11月1日更新

中田秀夫監督作のハリウッド版リメイク企画が続々! これってハリウッドで日本映画が人気ってこと?

ヒットの裏のドリームワークスの思惑は?

編集部

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日本製ホラー「リング」をスティーブン・スピルバーグのドリームワークスがリメイク、そのハリウッド版「ザ・リング」が公開週に全米興収第1位の快挙を成し遂げたのはご存知の通り。この企画をドリームワークスに持ち込んだプロデューサー、ロイ・リーは、さらに2本の日本映画のリメイク権を獲得。「リング」と同じ中田秀夫監督・鈴木光司原作の「仄暗い水の底から」と、平山秀幸監督・北村薫原作の「ターン」がその2本。ちなみにリーによれば「ターン」は、「アザーズ」ミーツ「恋はデジャ・ブ」だそうな。「仄暗い水の底から」はアメリカの製作会社パンデモニアム(日本では東宝東和と契約のある会社)がゲット。とりあえず「ザ・リング」がヒットした今、こちらの製作も進められる可能性大だ。

東京国際映画祭で来日した ウォルター・F・パークス
東京国際映画祭で来日した ウォルター・F・パークス

また、この4月、ロバート・デ・ニーロの製作会社トライベッカも、「リング」と同じ中田監督の「カオス」のリメイク権を獲得。こちらは歌野晶午の小説が原作で、実業家の妻が、夫の愛を確かめるため、自分を誘拐させる計画を企てて便利屋を雇うが、誘拐後、便利屋が外出から戻ると彼女は死体になっていた。さて……というサスペンス。製作サイドは、萩原聖人が演じた実行犯をベニチオ・デル・トロ、光石研が扮した夫役をロバート・デ・ニーロにオファーしていて、デル・トロは出演に乗り気らしい。監督は「セクシー・ビースト」のジョナサン・グレイザー、脚本はバズ・ラーマンの「ダンシング・ヒーロー」のアンドリー・ボーウェルが担当、2003年7月公開を目指して進行中だ。

「カオス」 タキコーポレーション /4800円(税別)
「カオス」 タキコーポレーション /4800円(税別)

と、聞くと、にわかにハリウッドで日本製ホラー&ファンタジーのリメイクがブームなように見えるが、ちょっと待て。前述のロイ・リーは、ドリームワークスに韓国のラブ・コメ「猟奇的な彼女」のリメイク企画を持ち込んでいるし、彼が今、注目しているのはタイ映画だという。つまり、ハリウッドは(これまでヨーロッパ映画のリメイクは多数やってきたが)今や、日本を含む欧米以外の地域でネタを探しているということだろう。

また、ドリームワークスには、それに加えてもうひとつの方針があるようだ。スピルバーグ作から「ザ・リング」まで担当しているドリームワークスの大物プロデューサー・コンビ、ウォルター・F・パークスとローリー・マクドナルドによれば、「リング」のリメイクの裏にはこんな思惑もあった。パークスの言葉を引用しよう。

「仄暗い水の底から」 バップ/4700円(税別)
「仄暗い水の底から」 バップ/4700円(税別)

「今、私たちが興味を持っているのは、ハリウッドの古典的なジャンルを、再び、主流に甦らせることだ。ホラーもそのひとつ。『スクリーム』や『13金』じゃなくて、『オーメン』や『エクソシスト』の系譜のホラーを『ザ・リング』で復活させたつもりだ。その予兆はM・ナイト・シャマラン監督の一連の作品にもあったけどね。他のジャンルも同じだよ。私たちが製作した『グラディエーター』で歴史活劇を、『プライベート・ライアン』で戦争映画を復活させた。オリジナルの『リング』は、この観点から見て、適した題材だと思ったんだ。古いハリウッド・ホラーの雰囲気があるからね。ほかにもいろんなジャンルが復活していい時期がきていると思ってるんだ」

それが本当だとしたら、ハリウッドが輸出したものに影響を受けて作られた作品を、今、ハリウッドが逆輸入しているということなのかもしれない。

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