「凄い映画」めぐりあう時間たち くーさんの映画レビュー(感想・評価)
凄い映画
語彙がなくて凄いしか言えないのがもどかしい。
メリル・ストリープも、ニコール・キッドマンも、ジュリアン・ムーアも、みんな凄かった。
病気の妻のために生活と人生を捨ててまで田舎に移り住んだのに、あんなに大声で自己主張したあと、間髪入れずに「じゃあロンドンに帰ろう」と言ってくれた夫がいて、ヴァージニア・ウルフがうらやましい。
病気のせいなのか?あんなに偏屈であんな面倒くさそうな女を愛し、そばに居続けてくれる夫がいるなんて、どんな僥倖…
愛してくれる夫と子がいて、世間的に満たされてると思われるのに、辛くて逃げたいローラ・ブラウン
あんなに幼くても母の言動に敏感で、自殺をやめて戻った母に「I love you 」と言える子に育ったリチャードが、
若くして出会えた、共に人生最良のときを過ごせた愛する女を「ダロウェイ夫人」と呼んで閉じ込め、彼女の人生を圧迫し続けることになる皮肉というか…
そんなクラリッサは、苦しみながらもリチャードに寄り添い続け、彼の作品を肯定して、生活も支えている。
傷付けても愛される人たち、ヴァージニアウルフ、リチャード
苦しんでもがいても生きる人たち、ヴァージニアの夫、クラリッサ
己の業に正直に生き、報いを受けたまま生きるローラブラウン
リチャードは、両親が不仲だったわけでもなく、おそらく虐待なども受けていないだろうが、幼いころ彼の存在を丸ごと受けとめ愛してくれる人に恵まれなかったと思う。父は母に盲目で、母は自分で精一杯で。
リチャード自身に何も落ち度はないのに、愛されなかった弊害は、リチャードに降りかかる。
毒親を持った子が背負わされる理不尽。
でも彼はクラリッサに大切にされた。
人工受精で授かったクラリッサの娘は、聡明で優しい。彼女が愛する人と幸せに生きられますように。
色々考えさせられて、まとまらない。
とても深くて、凄い物語。
2002年公開らしいが、そのとき母と観に行った記憶がある。母のチョイスだろう。
そのときはむずかしい映画だなと思った(それ以外に感じ取ることができなかった)記憶がある。
母は何を思ってこの映画を観たいと思ったのだろう。