「時間軸が何十年も前後する巧みな構成。交差しない一日。3人の女性の生きざま。」めぐりあう時間たち 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
時間軸が何十年も前後する巧みな構成。交差しない一日。3人の女性の生きざま。
原題は、「THE HOUSRS 」
“複数の時間たち“か、めぐり会わない物語。
(邦題はなかなか考えた技アリの題名)
3人の女性たちは、繋がりはあるけれど、一度の会わない。
3人を繋ぐのが、ヴァージニア・ウルフ作の小説、
「ダロウェイ夫人」という手法です。
原作は、マイケル・カニンガムのピュリッツァー賞を受賞した
1999年に発表された同名小説で、カニンガム氏は、ゲイとの事です。
映画は、イギリスを代表する女性作家のヴァージニア・ウルフの
「ダロウェイ夫人」を中心に置き、ヴァージニア・ウルフの
実生活とともに描く・・・といったいった手の込んだ作品です。
(非常に知的でスリリング、ミステリー的です)
2001年のニューヨーク、
ダロウェイ夫人(クラリッサ)の、
メリル・ストリープのPart。
1951年のロサンゼルス。
詩人の母親であるローラ(ジュリアン・ムーア)のPart。
そして冒頭の、
1941年のイギリスのサセックス。
病気療養していたヴァージニア・ウルフは、
遂に59歳で、力尽きて入水自殺をします。
演技力に定評のある3女優の競演で見応えあるのですが、
クラリッサにダロウェイ夫人とあだ名を付けた、
エイズに侵された初恋の男性・リチャード(エド・ハリス)が、
栄えある文学賞の受賞をお祝いするクラリッサの目の前で、
窓枠から飛び降り自殺してしまうのです。
そしてその夜、お通夜のようなクラリッサの家を訪れたのは、
リチャードが「母親は自分が幼い日に自殺した・・・」
そう言っていた母親でした。
小説でも殺していた母親のローラが姿を現すのです。
彼女は幼いリチャードと、その妹を置き去りして出奔していたのです。
それで息子はその存在を抹殺してしまったのですが、
心の傷と欠落は、言いようもない寂しさだったのでしょう。
原作が素晴らしく、映画も多くの賞に輝いたのも頷ける
知的なアンサンブル映画の傑作でした。
ヴァージニア・ウルフを演じたニコール・キッドマンがつけ鼻を付けた
特殊メイクで終始しかめっ面。
本人の面影が全くなくて驚きでした。
良き母、良き妻では、女は幸せになれない、
そんなメッセージを感じましたが、
そこはちょっと疑問でした。
良いご主人でしたのにね。
ゲイやレズビアンといった価値観が色濃く滲んでいます。
コメントありがとうございます。
吹替の良さはわかりますが、本人の声で聞きたいという思いもありますね。
フィルターなしで、その世界に浸りたいというか。
映画「オルランド」は観てないですが、ティルダ・スィントンが演じてるんですね。
それはステキ♥
ヴァージニア・ウルフは、難しい小説を書いてるイメージで、なかなか手が出ないです。
映画なら距離が近づくかなー。