「ブルータス、お前もハゲ!」スーパーマン リターンズ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ブルータス、お前もハゲ!
ケヴィン・スペイシーがとうとうスキンヘッドになってしまった驚きは、かつて同じレックス・ルーサー役を演じたジーン・ハックマンを見たときの驚きほどではなかったけど、ついに堂々とハゲ頭にしたスペイシーに拍手喝采ものです(当然といえば当然かもしれませんが・・・)。それにしてもスーパーマン・シリーズはハゲネタが盛り沢山だという伝統を上手く引き継いでくれた。カツラの陳列棚を発見したロイスが驚いたり、ネタを子供にまで言わせるのですから相当こだわりがあるのかもしれません。
ハゲというテーマ以外にも、この映画には隠されたテーマがあるのかもしれない。一つは禁煙できないでいるロイスを伏線にした禁煙のテーマ。ここで登場するたばこの銘柄が「KENT」だと笑えるところだったのですが、そこまで笑いをネタにしたくなかったのでしょう。知らないタバコでした。また、スーパーマンが行方知れずだった期間が5年というのも微妙な設定で、ちょうど9.11同時多発テロの直前というのも墜落しそうになる旅客機を止めることにも意味があるのかもしれません。そして、「全てを助けると地球人は何もしなくなる」といった命題を、野球場に旅客機を放置していくといった演出で見事に表現していたのだと感じました。
映像面ではかなり凝ったカメラワークもあったり、特殊撮影とは思えないほどの空中遊泳シーンに浮遊感を味わえたり、幼少時代を過ごしたシーンにノスタルジックな気分に浸れたりで、かなり満足できました。ストーリーも宿敵レックス・ルーサーを再び登場させたり、新しくロイスの息子を登場させたり、スーパーマンが地球人に救われるという設定はなかなか良かったと思いますが、「世界はスーパーマンを必要としていない」といった重要なテーマが掘り下げられていなかったのがちょっと残念。彼女自身の恋愛感情も絡めたと想像できるその私的な論文でピューリッツァ賞を取るというのも・・・
オープニングタイトル、幼少期の映像、そしてリーヴ夫妻に捧ぐというテロップにほんのり涙を流してしまいました。
【2006年8月映画館にて】