スパイ・ゲーム : 映画評論・批評
2001年12月4日更新
2001年12月15日より日本劇場ほか全国東宝洋画系にてロードショー
レッドフォードとピット、ふたりの輝きが眩しい
映画歴も長くなると、スターよりも監督というスタンスで楽しむようになる。ましてやこんな仕事に就いていたら尚更のことだ。ところが、「スパイ・ゲーム」は違っていた。いや、もちろんご贔屓スコットの演出にも目は行くのだが、それよりなによりふたりのスター。レッドフォードとブラッド・ピットの共演が眩しくって仕方なかったのだ。
ふたりは輝いている。それもひとりのときよりふたりでいるときのほうが。ブラピはレッドフォードを慕い、レッドフォードはそんな彼を可愛がる。スパイという非情な任務に就きながら、それでも純粋さを失わないブラピにレッドフォードが向ける視線。それこそがこの映画の要。レッドフォードの最後の選択に納得し、胸が熱くなるのも、そんなふたりの関係が丁寧に描かれているからなのだ。
ある意味、中年男のケジメのつけ方を教えてくれる映画でもある。そのためにはケジメをつけさせてくれる関係を築かなければいけないことも。「明日に向って撃て!」「大いなる勇者」そして「華麗なるヒコーキ野郎」と、常にロマンチックな男ばかりを演じてきたレッドフォード。そのロマンを久々に輝かせてくれたブラピとともに、ため息の出る男っぷり。スターに夢中になる感覚を久々に味わわせてくれたふたりに拍手を送りたくなった。
(渡辺麻紀)