紅夢のレビュー・感想・評価
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いにしえの歴史を感じる無機質な石造りの邸宅と屋敷の主人が泊まる夫人の部屋に掲げられる提灯の赤とのコントラストが実に印象的
新文芸坐さんにて『艶やかなる紅の世界』と題したチャン・イーモウ(張芸謀)監督の初期作品の特集上映(25年1月24日~29日)開催、未配信の『菊豆(チュイトウ)』(1990)、『紅夢』(1991)を鑑賞。
『紅夢』(1991)
『菊豆(チュイトウ)』(1990)に続くチャン・イーモウ(張芸謀)監督4作目。
本作も主演はコン・リー(鞏俐)。前作同様に没落した女学生が富豪の第四夫人として嫁ぎ、閉ざされた大邸宅の生活のなかで、屋敷の主人の寵愛を受けるため他の夫人たちや召使との間で欺瞞や裏切りを繰り返し、心を蝕んでいくストーリー。
徐々に性悪女に変貌、最後は心身ともに破綻していく第四夫人をコン・リーが本作でも好演。
いにしえの歴史を感じる無機質な石造りの邸宅と屋敷の主人が泊まる夫人の部屋に掲げられる提灯の赤とのコントラストが実に印象的。
以後の『あの子を探して』(1999)『初恋のきた道』(1999)『至福のとき』(2000)の「幸せ3部作」や『HERO 英雄』(2002)『LOVERS』(2004)アクション剣劇も最高なのですが、コン・リーとコンビを組んだ人間の性をえぐりだす初期作品も良いですね。
75点ぐらい。一夫多妻の愛憎。
リバイバル特集してくれたので出会えた作品 この頃の中国を舞台にした...
リバイバル特集してくれたので出会えた作品
この頃の中国を舞台にした映画は好きかもしれない
コンリーがなんとも言えず良い味を出している
美形なわけじゃないかもしれないけど、
存在してるだけで美しい
だから悲惨さも余計に沁みてくる
忘れた頃にまた見たい
ずらっと並ぶ紅い灯篭、足の裏を叩く音
大学生だった美しい娘(コン・リー)は父の死により家が没落し、19歳の若さで地元の富豪の第四夫人になる。大袈裟で古臭いしきたりが賢い彼女さえをも徐々に侵食していく。
第二夫人、第三夫人、第四夫人と彼女専用の召使い女、全部で4名の女達の間の嫌がらせ、意地、嫉妬、表面上の親切、呪い、悔しさ、悲しさ。誰が一番腹黒いのか?見始めたらやめられない、見応え100%のドラマだった。コン・リーの演技、絶品&宝物❗️
とはいいながら、貧困から抜ける為に男性社会の中に囲い込まれる女性達の話。自分の意志で自由に行動できる訳がない。昔からの掟が絶対。とりわけ夫人達に求められるのは男子を生むこと。現代でもそういう圧力のもとで成り立っている制度や分野があることに私達は鈍感すぎないか?
おまけ
美しいたくさんの衣装はまさに眼福。夏、秋、冬と季節の移り変わりに沿って色も素材も柄も変わる。衣装だけでなくヘアメイクやアクセサリーも各夫人の年齢、個性に合わせている。加えて素晴らしい建築と中庭と屋上、シンメトリー構図の映像に見惚れた。
【チャン・イーモウ監督、1920年代中国の素封家の第1~第4夫人達の確執と情念を紅色に染めて描き出す。】
1920年代中国の素封家に第4夫人として嫁いだ19歳の女、スンリェン(コン・リー:当たり前だが、2020年現在当時の資料を観ると若くて美しい。大女優になる素養は外見及び、「紅いコーリャン」や本作の演技を観ても充分あったのだ。日本でも、”中国の山口百恵”と言われていた・・。)
父の急死により親子ほど年の離れた素封家の男に嫁いだスンリェン。壮大な屋敷は立派な構えで、第四夫人として与えられた住居は内外に数多くの赤い提灯が吊るされ、飾り立てられていた。
提灯が灯されている住居の夫人は大旦那と呼ばれる当主と夜を共にする事を知るスンリェン。そればかりではなく、召使いの老女がスンリェンの足の裏を枹で打ち始める。恍惚とした表情を浮かべるスンリェン・・・。
妖しく、エロティックな画が大スクリーンに映し出され、どぎまぎしながら魅入られたものである・・。
徐々に上記のような、旧家の因習(と言っても良い位、怖ろしいシーンもあり。)に徐々に染まっていき、他の夫人達との当主の気を引くための駆け引きや、狂気に捉われていくスンリェンの様を描きだした妖しい美しさ全開の作品。
当時、屋敷に吊るされた数多くの紅色の提灯の妖しさとコン・リーの佇まいに魅了された作品でもある。
<1992年5月1日 劇場にて鑑賞>
<その後、ブルーレイにて数度鑑賞>
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