サイン : 特集
「シックス・センス」(99)「アンブレイカブル」(00)に続き、新作「サイン」が全米ヒット中のM・ナイト・シャマラン監督。この3作が出揃ったところで、編集部が発見したのが「シャマランの法則」だ。「サイン」の予習もかねてチェックしてみると……。(文・構成:編集部)
発見!シャマランの6つ法則
シャマラン監督&脚本の第1作は「翼のない天使」(98)だが、これは低予算で限定公開の作品だったのでカウントせず。この法則は第2作目の「シックス・センス」以降に共通するものだ。
※備考 ちなみに監督作以外では「スチュアート・リトル」(99)の脚本も執筆。オファーされて断った脚本には「ハリー・ポッターと賢者の石」「インディ・ジョーンズ4」があることも覚えておこう。
<法則1>「トリッキーなストーリー展開」
「シックス・センス」最大の特徴はその強烈な「オチ」=サプライズ・エンディング。この「オチ」のあるドラマ展開がハリウッドに及ぼした影響は絶大。さらにそこに至るまでの「おお、それがそこにつながるか」というあざといストーリー・テリングも得意技。「サイン」では少々前2作とは異なる展開テクも用いているが、基本は変わっていない。この手法はうまく行けば効果絶大だが、ネタバレ厳禁、プロモーション方法も問われる手法とあって、新作では監督自身が試写会を禁止、宣伝展開も仕切ったそうだ。
<法則2>「B級映画ネタでA級映画を作る」
この法則は監督自身が宣言。「僕が好きなのは、B級映画のモチーフを、A級映画の論理、A級映画のアプローチ、A級映画のスタッフ、そしてA級映画のキャストで作ることだ」と発言している。ちなみに監督が敬愛するB級映画はヒッチコックの「鳥」、ジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」、ドン・シーゲルの「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」。「これらはBジャンルの作品だけど、そのジャンルに留まっていない」。過去の2作では、超能力、霊、アメコミ、新作は超常現象“ミステリー・サークル”と、なるほどモチーフはB級映画でおなじみの下世話なもの。ちなみにアメコミは、実際に監督自身が大ファンだという。これらのネタで観客の興味を引くのがシャマランの法則。キャストも、ブルース・ウィリス、メル・ギブソンと一点豪華主義なのがシャマランの法則。このキャスティングが観客動員に貢献している。
<法則3>「基本はヒューマン・ドラマ」
こうしたB級映画をモチーフに使いながら大ヒットとなっている理由は、基本がヒューマンドラマだから。これも監督自身が意識している。「『シックス・センス』をホラー映画だと言いたくないんだ。ホラー映画ファンじゃなくて、ヒューマン・ドラマを見たい人々に見てほしいから」。そのほうが確かにホラーファンより層が広い。新作「サイン」の主人公は信仰を失ったキリスト教牧師。これまでの夫婦ドラマ、親子ドラマに加えて、信仰ネタも登場か?