「シュヴァルブラン1961年」サイドウェイ きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
シュヴァルブラン1961年
ワイナリーに勤めていた頃、片っ端からワイン・ムービーを楽しみ、その中で出会った1本でした。
珍道中の男たちの情けなさには爆笑です。映倫さんもこの可笑しみに免じて目をつぶってくれたのですね(笑)
心寄せる女性に心中を告白出来ない いじけたバツイチ教師マイルスが、あろうことか抜栓してファーストフード店内でがぶ飲みしてしまうのは、一生一度の取って置き=シュヴァルブランの1961年物です!
僕は声も出ずに叫んでしまいましたよ。
自暴自棄にも程があります。なんという無駄遣いを。汗汗。
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【ワイン解説】
シュヴァルブラン
このワインは、ボルドー産1級の中でも特異な性格を持ちます。
つまり、他の1級が数種類のブドウをブレンドしてその味わいをプロデュースするのと異なり、シュヴァルブランは「フラン」という品種=普段は主役のカベルネ・ソーヴィニヨンの陰に隠れてブレンド用ブドウとして引き立て役とされている“控え目で穏やかなブドウ”=を、舞台の中央に立たせて、ピン芸人の主役としてスポットライトを当てた。そういうワインなのです。
「脇役であり続けたキャラクターを脱ぎ捨てて、誰の助けも求めずに、自分自身であなたの良さをアピールしなさい」
というワイン。
協調ではなく独走。
油彩ではなく、墨絵。
それがシュヴァルブランです。
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ワインの楽しみと人生の冒険がとてもいい具合にアッサンブラージュ(ブレンド)された佳作だと思います。
原題「サイドウェイ」は、横道や側道にそれること。
⇒DVDを 早送り❱❱ すると、その題名を何気なくスクリーン上にしっかり表現していることが判りますからやってみて下さい。
上空からの定点観測で、同じY字路を彼らの車が行ったり来たり、右往左往していることが一目瞭然です。撮影の小技です。あれは新しい恋に踏み出せないマイルスの右往左往。
柄でなくても、自分のスタイルでははなくても、思い切って「脇道」にそれてみて、そこで発見する新しい人生というものも有るのだと、観終わってしみじみ思わされました。
僕が勤め先のワイナリーを辞するとき、尊敬する工場長がご馳走してくれたのがその思い出のシュヴァルブランでしたね・・
♪ ♪ ♪
ワインの美味しさは知っていますが、新しい恋の味は知りません
バツイチきりんのレビュー。
酔い心地抜群の映画でした。
映倫だなんて・・・w
まさしく脇道のネタですね!
wowowなんかで観ると、ボカシが多いのですが、配信で観るとボカシがかかっていなかったりしますよね~
慣れっこになってしまったので、最近はネタにもできないです・・・