劇場公開日 2005年3月5日

サイドウェイ : インタビュー

2005年3月15日更新

批評家からの絶大な支持を受けて、見事に本年度アカデミー賞脚色賞を受賞した「サイドウェイ」。アレクサンダー・ペイン監督が、その感想や映画作りに対する思いを語った。

アレクサンダー・ペイン監督インタビュー

「オスカー像は『ロード・オブ・ザ・リング』の指輪みたいだ(笑)」  町山智浩

アレクサンダー・ペイン監督
アレクサンダー・ペイン監督

――アカデミー脚色賞受賞おめでとう。授賞式の後はどうしました?

「朝5時まで飲んだよ。バニティ・フェア誌のパーティに呼ばれたんだけど、みんな『ねえ、オスカーに触らせて。ちょっとでいいから』ってペタペタ触りに来るんだ。まるで『ロード・オブ・ザ・リング』の指輪だよ(笑)」

――脚本賞はチャーリー・カウフマンでしたが、2人ともハリウッドの紋切り型や商業主義にアンチを唱えている反逆児ですね。これは快挙では?

「いや、脚色賞とか脚本賞というのは、ハリウッドに逆らう奴にアリバイ的に与えられる賞なんだよ。だってタランティーノも取ってるし、去年はソフィア・コッポラだろ。『サイドウェイ』は作品賞や監督賞にもノミネートされたけど、そっちの本命はイーストウッドかスコセッシなわけでさ」

――でも、イーストウッドですら、「ミリオンダラー・ベイビー」は「地味すぎる」という理由でメジャーの映画会社がなかなか出資しなかったですね。

「おかしな話だよ。アカデミー賞を獲る映画はハリウッドが作りたがらなかった映画ばかりだ。地味な映画は製作費がいくら安くても、ハリウッドはケチになるけど、コミックの原作や大スターの映画だと製作費がいくら高くてもハリウッドは気前がよくなる」

ジョージ・クルーニーが欲した役は、 トーマス・ヘイデン・チャーチ(右)が演じた
ジョージ・クルーニーが欲した役は、 トーマス・ヘイデン・チャーチ(右)が演じた

――前作「アバウト・シュミット」はジャック・ニコルソン主演でしたが。

「そう。だから映画会社から金を出させるのは楽だった。でも『サイドウェイ』では、“落ち目の昼メロ俳優”の役を欲しがったジョージ・クルーニーを断わったんだ。世界一のセクシースターが“売れない役者”を演じてもウソにしか見えないからね。ジョージをさんざん説得して納得してもらったよ。トップ・スターを誰も使わなかったから資金的に苦労したのは事実だけど、リアリティを捨てたくなかった。それに、スターが出れば映画会社は金を多く出すけど、そのぶんコントロールしようとしてくる。僕は自由に映画が作りたいんだ」

インタビュー2 ~アレクサンダー・ペイン監督インタビュー(2)
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