サイドウェイ : インタビュー
アレクサンダー・ペイン監督インタビュー 町山智浩
――「サイドウェイ」に出資したのは「フォックス・サーチライト」。20世紀フォックスのインデペンデント部門ですね。世界的コングロマリットの傘下の会社が作るインデペンデント映画というのは矛盾しているようですが。
「今の世の中、巨大企業から完全に独立するのは不可能だ。僕はインデペンデント映画という言葉は、資本の独立ではなくて、作家の芸術的な権限の独立という意味で考えているよ。フォックス・サーチライトはファイナル・カット権も僕にくれて、俳優も全員、僕1人にオーディションで決めさせてくれた」
――奥さん(サンドラ・オー)もオーディションしたんですか?
「彼女は監督と寝て役をもらったのさ(笑)」
――「サイドウェイ」はペイン監督としては初めてのハッピーエンドですね。「ハイスクール白書」の時は、無理やりハッピーエンドにしろと命じるユニバーサル映画と大喧嘩して、ビタースィート(ホロ苦い)結末を守り抜いたと聞きますが。
「大喧嘩は大げさだけどね(笑)。『サイドウェイ』に希望的な結末を選んだのはハリウッドイズムに迎合したわけじゃない。それぞれの物語にはそれぞれの結末があるんだよ」
――「サイドウェイ」はワイン好きの男の話ですが、なぜ、ワインなんですか?
「僕自身、ワインは好きだけど、この映画はワインの映画じゃない。人生についての映画だ。ワインが何を意味しているのかは、バージニア・マドセンのセリフに語らせた」
――「ワインを味わうことは、そのワインが経験した人生を味わうこと」という言葉ですね。だからワインは工場で大量生産はできない。
「技術的にはできるけど、してはいけないんだ」
――それって、映画作りについての監督の意見ですか?
「そこまでは言ってないけどね(笑)」
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