「せめてバラ一輪をわたせる男になりたいものです」Shall we Dance? あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
せめてバラ一輪をわたせる男になりたいものです
ここまで忠実にリメイクしているなんてビックリしました
配役もリチャード・ギアだけでなく、竹中直人、渡辺えり子、草村礼子といった主要登場人物までソックリさんの俳優を探して来てます
リチャード・ギアは本当に役所浩二に雰囲気が似ています
日本人が社交ダンスを習う
日本人に取っては自虐的なおかしみがあります
米国人でリメイクしたならどう感じるものか?
同じ様に滑稽さを感じるでしょうか?
白人の中年男がが主人公で、その滑稽さがでるものでしょうか?
そして有色人種を主人公にしたならば、どうしても若干の人種差別的なニュアンスを含んでしまうことは避けられないことと思います
それをダンス初心者三人組、ポリーナ、ミッツィー先生の人種構成や、貧富の差、アルコール依存の設定を加味する事で、その人種差別的なニュアンスを雲散霧消させて、米国であっても、米国人の上流階級でもない庶民が社交ダンスを習うことの自虐的なおかしみだけをものの見事に残してみせています
東洋人を主要登場人物に配役するとどうしても日本版に引きずられるので、東洋人は地下鉄の乗客として目立たないように登場させています
では、あれだけ日本版の主要登場人物に似ている俳優を探して演じさせているのに、肝心のヒロインだけは草刈民代とは全く違うタイプの女性を配役したのは一体何故でしょうか?
それはヒロインにジェニファー・ロペスを起用することで、社交ダンスを上流階級のものではなく、R&Bのダンスと変わらない単にダンスの一ジャンルに過ぎない、そのように錯覚させる為だったのです
お見事です
素晴らしい翻案だと感嘆しました
その上、日本版のオリジナルで少し感じた妻が置いてけぼりのモヤモヤが、米国版ではものの見事に解決されていたのは本当に凄い!
百貨店の売り場に、タキシードで現れるのは反則です
バラ一輪なんて飛び道具まで繰り出すのですから!
日本人にはこれは絶対出来ないし、米国人でもこんな必殺技を繰り出せる男はまずいないでしょう
だからこそしびれる甘いシーンなのだと思います
こんなこと日本でやれば頭おかしいと引かれちゃうでしょう
でも近いこと、せめてバラ一輪でも渡せる男にはなりたいと思いました