劇場公開日 2005年1月29日

Ray レイ : 特集

2005年1月21日更新

ジェイミー・フォックスがレイ・チャールズを熱演し、アカデミー賞主演男優賞も夢じゃないと評判の本作。「でも、レイ・チャールズのどこがそんなにすごいの?」というあなたのために、偉大なるミュージシャンの功績や生き様を解説する。

About Ray Charles~偉大なるミュージシャン  赤尾美香

■数字が語る、レイの偉業

ジェイミー・フォックスが熱演するレイ・チャールズは 本物(ページ下のCDジャケット参照)そっくり!
ジェイミー・フォックスが熱演するレイ・チャールズは 本物(ページ下のCDジャケット参照)そっくり!

レイ・チャールズ。音楽好きでなくともどこかで一度は名前を、あるいは彼の歌う歌を聞いたことがあるだろう偉大なるシンガー。けれど、彼の何がそんなに偉大であったかを改めて知る機会を得たことのある人は、意外に少ないのかもしれない。お恥ずかしい話だが、この私も実はそのひとりだったと言っていい。いくつかのヒット曲や偉業、逸話(盲目だったこと等)、サザンオールスターズの「いとしのエリー」を英語でカバーしたこと、和田アキ子からどえらく尊敬されていることくらいは知っていたけれど。

50年代初頭にデビューしたレイは、03年の夏に初めて体調を理由にショウをキャンセルしたが、同年春にはすでに1万回目のステージをやり遂げていた。全米トップ100入りしたシングルの総数では、エルビス・プレスリー、ジェームス・ブラウンに次いで第3位の座についている(ちなみにビートルズは5位、スティービー・ワンダーは8位)。音楽界で最も権威あるとされるグラミー受賞は12回を数えるが、昨年リリースされた遺作「ジーニアス・ラヴ」が05年2月13日に発表される第47回グラミー賞の9部門10賞にノミネートされているから、この受賞数は間もなく増えるだろう。12人の子供、20人の孫、5人の曾孫がいる……というのは蛇足か。ともあれ、こうして数字や記録を並べるだけでも「凄さ」は証明できるが、ならばその数字や記録はなぜ生まれたのか。私は、この映画を観てはじめてその答えが分かった気がする。

■「歌うべき歌を歌う」レイ。その源は…

映画の中でも描かれているが、レイは、神からの御言葉であり神への賛美でもある神聖なゴスペルを、俗なものであるポピュラー音楽(リズム&ブルース)に持ち込んだことで、後にソウル・ミュージックと呼ばれることになる新たなジャンルの基盤を築いた。もし彼がいなければ、モータウンやファンク、ひいてはヒップホップまでが生まれていたかどうか分からないというわけだ。

「ジーニアス・ラヴ~永遠の愛」 発売:ビクターエンタテインメント /税込2600円
「ジーニアス・ラヴ~永遠の愛」 発売:ビクターエンタテインメント /税込2600円

これだけでも彼の果たした功績がいかに大きいかは理解できるだろう。けれど、長きに渡り多くの人々に彼が、彼の歌が愛された理由は、持ち前のスモーキーかつエモーショナルな歌声でジャンルの垣根を軽々と超えて(前述の「ジーニアス・ラヴ」でレイとデュエットしたノラ・ジョーンズ、エルトン・ジョン、ウィリー・ネルソン、B・B・キング、ボニー・レイット、ダイアナ・クラール、バン・モリソン、ナタリー・コールらポップス、ブルース、カントリー、ジャズ……あらゆるフィールドを代表するミュージシャン達はみな、レイに惜しみない賛辞を贈り、デュエットできたことを光栄の至りだと口を揃える)歌うべき歌を歌ったからに他ならない。

そしてそうした歌の源がどこにあるかといえば、それは彼自身の生い立ちであり、トラウマであり、人生そのものだった。映画は、それを教えてくれる。天才ミュージシャンであるレイは、同時に、我々と同じ目線で生きるひとりの人間でもあった。愛したり、愛されたり、悩んだり、悲しんだり、喜んだり、無茶したり、やんちゃしたり、闘ったりしながら生きた彼が歌うからこそ、そこには魂が宿りダイレクトに聴き手の心を揺さぶるのだ。

特集2 ~About Ray Charles~偉大なるミュージシャン(2)

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